2006-01-01から1年間の記事一覧
中古屋でみつけて購入。Strindberg in Music (1987, Sterling) Tor Aulin: Master Olof Suite Ture Rangstrom: Dithyramb Orebro Symphony Orchestra / Goran W Nilson *1アウリンもラングストレムもまったく知らない作曲家だ。しかし、ストリンドベリ愛好家…
三冊目読了。そろそろドストエフスキーの本領発揮の感がある。この前の感想で、この小説では中心になるものが故意に隠されているのではないか、というようなことを書いた。おおざっぱな流れからいって、その不在の中心はたぶん反政府的な秘密結社にかかわる…
二冊目読了。退屈な小説という印象はあいかわらずだ。ふつうの小説なら、物語は線的に展開するものだが、この本はそういう気配がいっこうになく、時間軸にそって展開するというよりは、空間軸のなかで徐々に膨らんでいくような感じがする。物語は膨らんでい…
正字正かなサイトをいくつか見て思つたこと。どのサイトも基本的な姿勢は共通してゐて、要するに正字正かなで書けるやうな環境をととのへよ、といふことらしい。それやさうだらう。いまのところ、正字正かなで文を発表できる場としては、ウェブくらいしか思…
四冊あるうちの一冊目を読んだ(米川正夫訳、岩波文庫)。しかし、この一冊だけでは、物語的な進展はほとんど感じられない。音楽でいえば前奏曲みたいなものだろう(やや長すぎるが)。二冊目以降、徐々に物語が動きだすのではないかと思う。そうでないと、…
中世音楽を聴く弊害というものがもしあるとすれば、それは近・現代の曲に対して感受性が鈍くなることだろう。こういうものになじんでしまうと、大バッハの曲すら、なにか色あせたものに聞こえてしまう。これは本末転倒もいいところで、中世音楽などは本来お…
ときどきウェブサイトで正字正かなを使っているひとを見かける。なかには掲示板やコメント欄にまで正字正かなを使っているひともいる。日本式の略字になじみきっている自分のような人間からすると、ちょっと頭がおかしいんじゃないか、と思ってしまうような…
Codex Chantilly, Ballades & Rondeaux -- Ensemble Organum(Harmonia Mundi)くわしいデータはアマゾンその他に譲るとして、これはアルス・スブティリオル初心者には向かないCDであることをまずいっておく。理由は、対位法がひどく強調されているので、ち…
夏といえば怪談、ということで、お盆の時期ははずしてしまったが、蒲松齢の「聊斎志異」を手に入れた(人民文学出版社)。これは全体の十分の一ほどの選集で、古い刊本の挿絵が添えられている。この挿絵と、それにつけられた賛(?)だけ眺めていると、いか…
ダニエル・シュミットが亡くなった。彼の作品では、「ラ・パロマ」というのをかつてテレビでみたことがある。これは深夜の放送だったから、半分寝ながら見ていたようなものだが、ふしぎに記憶に残っている。といっても、内容はきれいに忘れてしまった。ただ…
上巻の感想でミシュレのことをロマネスクと書いたが、下巻にいたってその傾向はますます強まる。下巻(正確には「第二の書」)の半分ちかくを占めているのは、1730年前後にツーロンで起こったカディエール事件だ。これはもうほとんどミシュレ版「罪と罰…
去年(2005年)はシュオッブの没後100年だったが、これといってイヴェントもなかったようだ。ところが今年になってナントで回顧展がひらかれたらしい。この本はそのときの図録で、通常ではなかなか見ることのできない写真や図版が満載である(ガリマ…
おおざっぱな印象でいえば、ミシュレは歴史学におけるバルザックのような存在だったのではないか。その主著「フランス史」は、「人間喜劇」とパラレルなのではないか。そう思ったのは、彼がこの「魔女」において鮮明に打ち出している観点が、どこまでも民衆…
チコーニアの作品を中心にしたアルス・スブティリオルの作品集(CHANNEL CLASSICS, 1990)。演奏しているのはリトル・コンソートという小編成のアンサンブルで、楽器構成はフルート、ヴィエル、リュート。それにメッゾ・ソプラノが加わっている。はじめて聴…
これはジャリが中学生のころ、仲間といっしょに上演した「ポーランド人たち」という人形劇を、のちになって改作したものらしい。ユビュ王のモデルはエベールという物理の先生で、エベおやじと呼ばれていた。そのエベがユビュになったわけだ。このユビュには…
渡辺一夫著作集の第九巻の末尾には全巻の内容の目次がある。これを見ていると、けっこうシステマティックな著作集なんだということがわかる。ラブレー雑考が二巻 ルネサンス雑考が三巻 フランス文学雑考が三巻 乱世・泰平の日記が一巻 偶感集が三巻でもって…
「著作集」の9巻に収められているのを読んだ。叙述のスタイルは「戦国明暗二人妃」と同工異曲で、「シャルル6世、シャルル7世治下におけるパリ一市民の日記」を骨子としながら、渡辺流のコメントを付していくという書き方になっている。それにしても、こ…
下巻読了。なるほど歴史書とはこういうものかと思う反面、これは歴史書とはいえないのではないか、とも思いながら読んでいた。というのも、随所に著者の感想がまじる叙述のせいか、学術書というよりもむしろ歴史エッセイを読んでいるような気になってくるか…
いつもは本を買ってもいちいち日記には書かないが、今回のはちょっと気になることがあるので、書くことにする。ネット古書でフランチェスコの「小さき花」をさがすと、久保正夫訳というのがいくつかあがってくるが、どれもみな高い。旧版の新潮文庫で300…
皆川達夫の「中世・ルネサンスの音楽」(講談社現代新書)を100円でみつけたので購入。ざっと見たところでは、自分のようなたんなるアマチュアにも親切な入門書といった感じの本だ。とりあえずこの本でアルス・スブティリオルに関する記述をさがすと、こ…
上巻読了(堀越孝一訳、中公文庫)。これはやはり名著だ。というのも、この本に書かれている内容はすでにあちこちで引用されまくり、消費されまくっているので、本書を直接読まない人間にもだいたいの内容が知られてしまっているからだ。読まれずして読んだ…
自殺ソングとして有名なのはダミアの「暗い日曜日」だが、このCDに収められたソラージュの「くすぶった男が(Fumeux fume)」もまた一種の自殺ソングとして聴くことができるのではないか。なにしろ歌われているのが阿片をのむ人々で、阿片吸飲とは緩慢な自…
中世音楽のCDは、ちょっと気を抜いているとたちまち廃盤になってしまい、やがて確実に入手困難になる。名盤といわれるものですらそうなのだから、気になるものは見つけしだい買っておく必要がある。といっても、一度にそうたくさん聴くわけにもいかず、と…
この本の根幹をなすのは、1935年から1941年にかけて出された三冊の本から選ばれたエッセイで、あと、冒頭と末尾にほかの本から一篇づつ採録されている。選択にあたっているのは杉本秀太郎氏。私は杉本氏の仕事にはあまり共感をもっていないが、この…
白水社の「詩的演劇」の最後の作品。これはゴーリキーの小説「母」をもとに、かなり自由な脚色をほどこした舞台用の台本らしい。題材になっているのは革命前夜のロシアの社会主義運動だが、どうしてこれが60年代も終りになってからふたたび取り上げられた…
14世紀の教皇対立時代に、アヴィニョンとローマの宮廷のために書かれた歌曲をあつめたCD(原題:POPES AND ANTIPOPES、メトロノーム盤)。しばらく前からアルス・スブティリオルを中心に、この時代のCDを聴いているが、おかげで知らずしらずのうちにカ…
マール社から出ている「100年前シリーズ」の一冊。図版多数で1000円そこそこという値段につられて買ってみたが、本を開いた瞬間、しまった、これは失敗だ、と思った。というのも、写真図版の印刷がどうにも満足できる水準ではないのだ。古い写真特有…
なんとか適価にて購入(カルメル会訳、岩波文庫)。さて、いきなり話は脱線するようだが、ちょっと前の日記に、日本人選手の弱点はリズムにあるんじゃないか、と書いた。もしこれがあたっているならば、日本チームは(残念ながら)どうがんばってみても世界…
久しぶりに新刊の文庫を買う(河出文庫)。手にとってみると、なんだか微妙に軽い。たぶん用紙のせいだろうが、本そのものが軽いのと同じく、内容も非常に軽い。ほとんどブログ的といってもいいほどの軽さだ。この軽さは、しかし意識的なものらしく、その証…
ガリーナ・ヴィシネフスカヤ。名前をみただけで一種の風格がただよう。私には縁遠いロシアのオペラ歌手らしいが、彼女がムソルグスキーの「死の歌と踊り」を歌っているというのでCDを買ってみた。EMIから出ているGREAT ARTISTS OF THE CENTURYというシ…