2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

マリオ・プラーツ「ムネモシュネ」

かつて美術出版社から出た訳本を不可として高山宏が新たに訳しなおしたもの(ありな書房、1999年)。しかしこれをもって邦訳決定版とするのならもう少し校正をしっかりしてほしかったと思う。ありがちな変換ミスが散見するのは残念だ。「名ずける」とか…

ポアンカレ「科学と方法」

ポオの「ユリイカ」と並行して読んでいたもの(吉田洋一訳、岩波文庫)。じつはこっちのほうを先に読了したのだが、感想が書きにくくてほうっていた。まあモノがモノだけに私が感想を書く必要もないのだが。ポアンカレについてはとくに関心があったわけでは…

ポオ「ユリイカ」

細切れの時間をなんとかやりくりしつつ読了。ポオの最晩年の著作とのことだが、もうこのころになるとかつての「印象と効果」の理論家ポオは影をひそめて、その代りに彼の生地である中二的心性が全開になっている。中二的といっても貶しているのではない、む…

ストリンドベリ「死の舞踏」

アマゾンからストリンドベリの「死の舞踏」の紹介メールがくる。なんでいまごろ私のところへ「死の舞踏」への招待が? それにはアマゾンなりの理由があるんだろうが、それはともかくとしてこの戯曲、大昔に読んだ記憶をたどってみると、主人公がなんとなくサ…

倒逆睡眠法

ちょっと時間に余裕ができたなかな、と思ったとたんに過酷な業務命令が下って、またしても魚が水面であぎとうような生活に戻ってしまった。もうこの状態がおれにとっての常態であって、余裕ができるなんてのはよほどの僥倖だと思っていたほうがいいのかもし…

アメリカ嫌い

きのうの日記を書きながらふと思ったのだが、私は題名に「アメリカ」の文字があったらまず敬遠することにしている。いや、敬遠というのはよくない、見ずに素通りするといったほうがいい。理由はといえば、アメリカという国が昔から、ほんとに子供のころから…

B.E.エリス「アメリカン・サイコ」

読んだ感想をひとことでいえば「最低!」なのだが、それだけではあんまりなので、いちおう所感のようなものを書いておく。訳者のあとがきによれば、この長篇が評判になったのは、作中における「残虐きわまりない殺人場面」のためらしい。しかし私はそれらの…