2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「小さな悪の華」

ちょっと前から気になっていたのをやっと見た(ジョエル・セリア監督、1970年、フランス)。これはすばらしい。名作というにはほど遠いが、なんというか私の嗜好にみごとにはまる。原題はMais ne nous delivrez pas du mal(私たちを悪から解き放ちたも…

「盲獣」

この前の「からっ風野郎」の感想で、三島由紀夫はヤクザ映画ではなくて乱歩の「陰獣」のほうが似合っていたのでは、みたいなことを書いたが、レンタル店へ行くと、同じ監督(増村保造)の「盲獣」というのが置いてあったのでちょっとびっくりした。主演は船…

「からっ風野郎」

1960年の大映映画(増村保造監督)。怪優(?)三島由紀夫の魅力が炸裂! といいたいところだが、じっさいは危なっかしくて正視できたものではない。なんだって彼はこんな悪趣味な映画に出たのだろうか。みずから志願したのか、あるいは製作者の依頼をう…

阿部良雄「群衆の中の芸術家」

こんなことをいうと傲慢と思われるかもしれないが、私はボードレールに関してはその「すべて」を知っている。彼について未知のことすら知っている。もし彼が死んだのはペストのせいだといわれても、あるいは彼が若いころ娼婦を殺したことがあるといわれても…

「老子」

この前読んだ「易の世界」に「老子は荘子とくらべて現実政治的」というような記述が出ていた。そういえば前にryotoさんの日記を読んだときも同じようなことが書いてあった。これは私の印象とだいぶ違っていて、老子といえば政治とは無縁の玄妙な神秘思想みた…

加地伸行編「易の世界」

しばらく前からちびちびと読んでいたのをようやく読了(中公文庫、1994年)。題名のとおり、易への親切な入門書になっている。易といえばもちろん占いだから、理論と実践とが含まれるわけだが、この本はその両者への配慮が行き届いていて、私のような中…