2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Narthekopherとは

独訳版「モネルの書」の最初のほうにNarthekopherという言葉がでてくる。ふつうの辞書には出ていないが、バイイのギリシャ語辞典には載っている。といっても、「おおういきょうの枝をもつ(人)」というだけではなんのことかわからない。ネットで調べてみる…

田宮虎彦「小さな赤い花」

少女愛文学の九冊目(昭和36年、光文社)。これはすごい、を十回くらい繰り返したくなるような小説。なんというか、私の心の琴線をめちゃくちゃにかき鳴らしてくれる。こういう傑作がさりげなく出ていた六十年代はやっぱり偉大な時代だった。小説一般には…

理性の眠りは怪物を生む

「finalventさんのwktk読んだ?」 「wktkっていうなよ、気持わるい」 「あれを読むと、いかに氏が品行方正な人かっていうのがよくわかる。とにかく好感のもてる人だな」 「うん、おれたちのまわりはAさんみたいなやつばっかりだからね。そういう連中とつき…

モンゴメリ「赤毛のアン」

少女愛文学の八冊目(村岡花子訳、新潮文庫)。いまさら「赤毛のアン」なんて……と思っている人は多いだろう。私もそうだった。といっても、この「いまさら」には二通りの意味がある。ひとつは、子供のころ読んでおもしろかったが、それをいまさら云々するの…

ユイスマンス「ロココ・ジャポネ」

お前さん、ちょいとわたしの話をきいておくれでないか、黒い瞳の、三つ編みに結った、色の白い、やんちゃな小さい女狐さんや。ほんにまあ、耳のへんまでつりあがった、ふしぎな目をしてなさる。口はななかまどの実のようにまっかじゃ。ほっぺたはまるまると…

mousme(ムスメ)について

yskszkさんがおもしろい記事を書いている。そこに出ているプルーストのmousme評を見ると、フランス人の日本理解もいいかげんなものだな、と思う。口をとがらせているというのは、moueからの連想だろうか。それはいいとしても、「皺くちゃになるほどの笑顔」…

ボオドレールという表記

私のもっている岩波文庫の「悪の華」の作者は「ボオドレール」であって、ボードレールでもボオドレエルでもない。なんともふしぎな表記というしかないが、鈴木信太郎がこういう奇異な表記をあえて選んだのには訣がありそうだ*1。まずボオドレエル。戦前はず…

訳詩についての雑感の補足

http://d.hatena.ne.jp/inmymemory/20080103inmymemoryさんが私の前の記事(訳詩についての雑文)にトラックバックを送ってくださった。で、ここでなにかひとこと書くべきかと思うが、訳詩についてはもうあまり書くことがない。少なくともいますぐは思いつか…

incompatibility

「きみがこの前書いてたfinalventさんてどんな人?」 「おれもよく知らない。ブログ界ではえらい人らしい。いつも大量の記事とコメントがあって、正直いって驚くよ。朝から晩までPCの前に座りつづけじゃないか」 「おれも宝くじがあたったらそんな生活をし…