2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

兎を懐く月

満月を見て、ああ、兎が餅をついているな、と考えるのはたぶん日本人だけだと思うが、餅つきはともかく兎の姿を月にみとめる例は他の国にもあるみたいだ。ひとつはインド。カーリダーサの「天女ウルヴァシー」にこんな詩がある。「兎を宿す月輪の かの光芒は…

40歳のオタクについて

百貨店の商品券をもらったので、それを換金するために金券ショップへ行くと先客がいて、なにやら記念切手らしきものを買っている。それを見ていて、そうだ、自分の子供のころは切手集めという趣味があったっけ、そういえば古銭集めというのもあったなあ、な…

「ピブラック」について

きのうの日記はあまりのばかばかしさに削除してしまったが、そこで言及したピエール・ルイスの猥褻詩「ピブラック」について検索してみると、なんと、この長大な詩を訳してブログで公開している人がいた。しかも念入りに韻まで踏んで。よくもやったな、と感…

ヴィヨンの詩の解釈について

先日ふれた「巴里幻想訳詩集」の月報に、南條竹則という人がヴィヨンの有名な「疇昔の美姫の賦」の末尾の四行詩(いわゆる反歌)について書いている。ここで南條氏が褒めている日夏耿之介の訳がすぐれたものであることは私としても異存はないが、それはそれ…

女の子が空から降ってくる話(はてな限定)

これに便乗→http://q.hatena.ne.jp/1231366704 むかしシナの杞の国に愚人がいて、もしも空が落っこちてきたらどうしよう、とかわけのわからないことを考えては気に病んでいた。しかしそんな彼も空から女の子が降ってきたらどうしよう、とまでは考えなかった…

「巴里幻想訳詩集」

去年(2008年)、国書刊行会から出た本。おもに戦前に出た異色の訳詩集を五つ集めてある。 「恋人へおくる」(矢野目源一、昭和8年、第一書房) 「ヴィヨン詩抄」(城左門、矢野目源一、昭和8年、椎の木社) 「夜のガスパァル」(西山文雄、城左門、昭…

ペイターについて

anatorさんのところ(→http://ameblo.jp/anator/entry-10187598067.html)でペイターが取り上げられていたのでちょっとネットで調べてみたら、ふたつのことに気がついた。ひとつはりっぱな──おそらく──全集が日本で刊行されていること。もうひとつは日本語の…