ダニエル・シュミット「ラ・パロマ」


ダニエル・シュミットが亡くなった。彼の作品では、「ラ・パロマ」というのをかつてテレビでみたことがある。これは深夜の放送だったから、半分寝ながら見ていたようなものだが、ふしぎに記憶に残っている。といっても、内容はきれいに忘れてしまった。ただなんとなく異様な雰囲気が全篇にただよっていたのをおぼえている。いつかビデオでもう一度ちゃんと見てみたいと思いつつ、十数年が過ぎ去った。

この「ラ・パロマ」の原作は、ハンス・ハインツ・エーヴェルスの「スタニスラワ・ダスプの遺言」らしい。前に買ったエーヴェルスの作品集をみると、うまいぐあいにこれが入っている。で、さっそく読んでみた。

……「ラ・パロマ」って、こんなものすごい話だったっけ。いくら私の記憶力が貧弱だといっても、こんな内容ならけっして忘れたりはしないだろう。どうも原作と映画とは別物のようだ。映画のほうは夢幻的な印象がつよかったが、原作はもう身の毛がよだつほど悪趣味なものだ。よくもまあここまで怖ろしい話を考えつくもんだと感心してしまう。

というわけで、「ラ・パロマ」をもう一度みてみたいという希望は、ぜひとももう一度みてみなければという切願にまで高まってしまった。しかし、近くのレンタル店には置いてなさそうだし、DVDを買うのもちょっと悔しいし、さて、どうしたらいいか。