2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

アルフレッド・ジャリ「ユビュ王」

これはジャリが中学生のころ、仲間といっしょに上演した「ポーランド人たち」という人形劇を、のちになって改作したものらしい。ユビュ王のモデルはエベールという物理の先生で、エベおやじと呼ばれていた。そのエベがユビュになったわけだ。このユビュには…

渡辺一夫著作集について

渡辺一夫著作集の第九巻の末尾には全巻の内容の目次がある。これを見ていると、けっこうシステマティックな著作集なんだということがわかる。ラブレー雑考が二巻 ルネサンス雑考が三巻 フランス文学雑考が三巻 乱世・泰平の日記が一巻 偶感集が三巻でもって…

渡辺一夫「乱世の日記」

「著作集」の9巻に収められているのを読んだ。叙述のスタイルは「戦国明暗二人妃」と同工異曲で、「シャルル6世、シャルル7世治下におけるパリ一市民の日記」を骨子としながら、渡辺流のコメントを付していくという書き方になっている。それにしても、こ…

ホイジンガ「中世の秋」

下巻読了。なるほど歴史書とはこういうものかと思う反面、これは歴史書とはいえないのではないか、とも思いながら読んでいた。というのも、随所に著者の感想がまじる叙述のせいか、学術書というよりもむしろ歴史エッセイを読んでいるような気になってくるか…

久保正夫訳「聖フランシスの小さき花」

いつもは本を買ってもいちいち日記には書かないが、今回のはちょっと気になることがあるので、書くことにする。ネット古書でフランチェスコの「小さき花」をさがすと、久保正夫訳というのがいくつかあがってくるが、どれもみな高い。旧版の新潮文庫で300…

アルス・スブティリオルの評価

皆川達夫の「中世・ルネサンスの音楽」(講談社現代新書)を100円でみつけたので購入。ざっと見たところでは、自分のようなたんなるアマチュアにも親切な入門書といった感じの本だ。とりあえずこの本でアルス・スブティリオルに関する記述をさがすと、こ…

ホイジンガ「中世の秋」

上巻読了(堀越孝一訳、中公文庫)。これはやはり名著だ。というのも、この本に書かれている内容はすでにあちこちで引用されまくり、消費されまくっているので、本書を直接読まない人間にもだいたいの内容が知られてしまっているからだ。読まれずして読んだ…

ウエルガス・アンサンブル「フェビュスよ、進め」

自殺ソングとして有名なのはダミアの「暗い日曜日」だが、このCDに収められたソラージュの「くすぶった男が(Fumeux fume)」もまた一種の自殺ソングとして聴くことができるのではないか。なにしろ歌われているのが阿片をのむ人々で、阿片吸飲とは緩慢な自…

デヴィッド・マンロウ「宮廷恋愛の技法」

中世音楽のCDは、ちょっと気を抜いているとたちまち廃盤になってしまい、やがて確実に入手困難になる。名盤といわれるものですらそうなのだから、気になるものは見つけしだい買っておく必要がある。といっても、一度にそうたくさん聴くわけにもいかず、と…