2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

フリッツ・ラング「M」

いわずと知れた名作。きのうの日記でちょっと触れたので探してみると、これまたニコニコ動画にアップされている。古典的な映画に関してはもうパソコンがあればDVDを借りる必要もなさそうだ。M 1/8 - ニコニコ動画これはだいぶ前にビデオで見たが、筋はほ…

セルジュ・ブールギニョン「シベールの日曜日」

1962年のフランス映画。かつて母の友人が見て大感動した、というので気になっていたもの。一年ほど前にレンタル店で見つけて、そのうち借りようと思っていたら、いつのまにか店がつぶれていた。とうぶん見るのは無理そうだったが、意外なことにニコニコ…

サミュエル・バトラ「エレホン」

ユートピア文学の二冊目(山本政喜訳、岩波文庫)。岩波文庫にはけっこうユートピアものが入っているので順次読んでいくつもり。モアの本が理想郷を描いているのに対し、バトラーの描くエレホンはアデュナタ(さかさまの世界)である。「さかさま」というよ…

イマヌエル・カント「美と崇高との感情性に関する観察」

上野直昭訳による岩波文庫(1948年初版)。これは題名の示すとおり「観察」であって、「考察」でもなければ「研究」でもない。もともとカントはきわめて無趣味な人で、自室には絵の一枚もなかったというから、そういう人の書いた美学が美学プロパーでは…

トマス・モア「ユートピア」

恥ずかしながらいまごろ読んだ(平井正穂訳、岩波文庫)。訳文はすばらしく明快で、さすがに英文学は裾野が広いだけあって翻訳の質も高い。モアのユートピアはどこまでも二重だ。著者は一方の目で理想を追いながら、もう一方の目ではしっかりと現実を見据え…