ヘレン・ケラーとスウェーデンボリとストリンドベリ


名画として知られる「奇跡の人」を見たが、どうも感想を書くだけの気力が出ない。ただ一言だけ言っておこう、これは名画ではない。「奇跡の人」の原題が The Miracle Worker で、つまりサリバン先生のことを指しているというトリビア(まさにトリビア!)だけが収穫だった。

この映画とくらべたら、youtubeにあるドキュメンタリーのほうがずっといい。一時間近いが見る価値はあると思う。

さて、このビデオのなかで、ヘレン・ケラースウェーデンボリについて語っている。スウェーデンボリ、この近代オカルト界(?)の巨人のことは前々から気になりながら、どういうわけかいままで読む機会がなかった。しかし、ブレイク(「天国と地獄の結婚」)やベーメ(「黎明」)のあとでは、当然のようにスウェーデンボリも読む必要がある。それほど大きな存在なのである。

ストリンドベリスウェーデンボリの著書を読むことで「地獄」時代を脱したというのは有名な話だが、彼はあれほど博識でありながら、この時期までスウェーデンボリをまったく知らなかったらしい。おそらく名前だけ聞いて「ふふん」と思っていたのだろう。その点では私もまったく同様だ、スウェーデンボリ? あのオカルトの巨人ね、宇宙人や天使と話をしたという、云々。

ストリンドベリは叔母さんからスウェーデンボリの独訳選集を借りた。私はヘレン・ケラーに(間接的に)すすめられて鈴木貞太郎の訳本を手に取った、という次第。

ちなみにこの本(「天界と地獄」)はほとんどが天界と精霊界との記述に費やされていて、地獄界についてはほんの数十ページの記述しかない。ストリンドベリスウェーデンボリの地獄描写のなかに自分の体験そのものを見出して驚いたらしいが、いったいどういう部分に彼は感動したのだろうか、そんなことも気にしながら読んでみたい。