2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ゲーテ「イタリア紀行」(上)

つまらないといいながら読んでしまった(相良守峯訳、岩波文庫)。この本がつまらないのは、たぶんゲーテのイタリア旅行が「教養としての旅」であるためだろう。教養としての旅とは、異国の古典的な風土で体験をつむことが、そのまま人格の陶冶に結びつくと…

フッセル「純粋現象学及現象学的哲学考案」(下巻)

ようやっと下巻読了(池上鎌三訳、岩波文庫)。300ページほどの本にどれだけ手間取っているんだ、と自分でもいやになるが、この下巻は上巻に輪をかけて難解で、たぶん自分がいままで読んだ本のなかでもとびぬけて難解な部類に属する。これとくらべれば、…

グリーク「山の娘」

franzさんのところ(「歌曲雑感」)で紹介されていたので興味をもって購入("GRIEG: PEER GYNT, PIANO CONCERTO etc.", EMI)。シーヴ・ヴェンベルイという歌手は名前も知らなかったが、首すじがぞくぞくするような美声の洪水に完全にノックアウトされてしま…

女性と哲学──はてなダイアリーの周辺

ちょっと前のエントリで「哲学をやる女性が少ないのはなぜか?」というのがあった。そういわれてみれば、女性の哲学者というのはほとんど思い浮かばないし、いわゆる「哲学」に興味をもっていそうな女性はまわりを見渡しても一人もいない。ところで、現在人…

母の日に

母は私と並んで歩いていた 偉大な天使だったのだろうか? それとも母は靄の垂れこめた空の下に 葬られているのだろうか── 母の死のうえに青い花が咲いたことは一度もない。 でも、私の両眼が明るく輝いて 母に光をもたらすならば、 私の微笑が顔のなかで埋も…

明日から仕事

気がつけば連休も終わり。とくになにをするでもなく、だらだらと過ごしてしまった。時間を浪費することはお金を浪費することと同じだから、その意味ではけっこうぜいたくに過ごしたともいえるが、残念ながらそういう実感はまったくわかない。時間の浪費とい…

悪文の魅力

フッサールの本をさらに二冊買う。岩波文庫の「デカルト的省察」と中公文庫の「ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学」と。まだところどころ味見しただけだが、それでもいま読んでいる「イデーン」(というよりも「考案」)とのあまりの違いに驚く。内容で…