2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ホフマン「室内楽集」

E.T.A.ホフマンの「室内楽集」(cpo)を聴く。これは「ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重奏曲」、「ソプラノとテノールのための6つのイタリア歌曲」、「ハープと弦のための五重奏曲」を収めたもの。ざっと聴いた印象では、最初のものがいちばんいい…

ヴォリンゲル「抽象と感情移入」

ヴォリンゲル「抽象と感情移入」(草薙正夫訳、岩波文庫)読了。これはいまからちょうど100年前に発表された論文で、この種の本としては異例の成功をおさめたらしい。この成功の理由はなんだろうか。もちろん内容が画期的だったこともあるだろう。しかし…

岡田暁生「西洋音楽史──「クラシック」の黄昏」

岡田暁生「西洋音楽史」(中公新書)読了。よく「○○史」といった題の本があるが、その場合の歴史とは、せいぜいがその著者にとっての歴史であって、けっして客観的かつ唯一無二のものではない。歴史家が十人いたら、十の異なった歴史がある。だから、歴史の…

橘外男「君府(コンスタンチノープル)」

橘外男「君府(コンスタンチノープル)」読了。これは「伝奇耽美館」(桃源社)と題された本の後篇だが、前篇の「ウニデス潮流の彼方」とはなんの関係もない独立した物語だ。あるドイツ婦人の回想録のようなもので、一人称による語りというスタイルをとって…

ホフマン「牡猫ムルの人生観」

けさ、胸の上に猫?がそっと乗りかかってくるような気配に目がさめた。いや、そんなはずはない、あの猫は死んだのだから、とそう思ううちにも、猫がそっと胸の上にのぼってくる感覚はあまりにもリアルで、とても夢とは思われない。これはいったい何事かと待…

「三つのゴシック小説」

この前コメント欄にちょっと書いたペンギン・ブックスの「三つのゴシック小説」を手に入れる。この手のペーパーバックは本体よりも送料のほうがずっと高い。損をしたような気がしないでもないが、所収の「オトラント城」は未読だし、なによりもマリオ・プラ…

中世、ルネサンスの音楽

先日アマゾンに発注していたCDが届く。「中世・ルネサンス音楽への招待状」(ネーヴェル、ソニー) 「十字軍の音楽」(ロンドン古楽コンソート/マンロウ、デッカ)アマゾンの「どちらもおすすめ」に従って2枚買ったわけだが、これは買っていいことをした…

マニエリスム音楽

クープランの綾織のような繊細な音の連なり聴いていると、どうしてもマニエラという言葉を想起せずにはいられない。マニエラとはもともと「手」に由来する言葉で、そこから手法、様式の意味になった。イタリアでは日常語に属するが、日本ではほとんどもっぱ…