2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧
ペンギン双書の「三つのゴシック小説」の冒頭に、現代のゴシック小説(?)として引き合いに出されていたのがグスタフ・マイリンクの「ゴーレム」とブルガーコフの「巨匠とマルガリータ」だ。ブルガーコフはともかく、マイリンクの本はだいぶ以前に読んだこ…
「聖母」につづくマゾッホの第二弾(藤川芳朗訳、中公文庫)。基本的な構図は「聖母」と同じだが、作品の規模といい、内容といい、いちじるしくスケールアップされている。それに応じるかのように、藤川氏の訳文も一段と立ちまさってみえる。ほとんど文句の…
「シューベルト歌曲集2」(フィリップス) バッハ「カンタータ80番、140番、147番、モテット第3番」(EMI)の2枚を入手。バッハのものは、1957年に出たジェレイント・ジョーンズのものと、1967年に出たヴォルフガング・ゲネンヴァイン…
この本は昭和25年に刊行され、翌年読売文学賞が与えられたという。そういう時期に出たものとして、これは当時の日本人に反省をうながすとともに、失われた自信を回復させる効果をもあわせもつ本になっている。このうち後者の傾向がいちじるしいことは、本…
はじめは洒落のつもりで聴いていたウエルガス・アンサンブルのCD(「中世・ルネサンス音楽への招待状」)だが、だんだん洒落ではすませられなくなってきた。これはウエルガス・アンサンブルの10枚のCDからのハイライト集で、題名のとおり初心者には絶…
岩波文庫の美学の三冊目。訳者はヴォリンゲルの本と同じく草薙正夫氏。シラーには「素朴文学と情感文学」という本があって、それの訳本をもっているはずなのだが、どこを探しても出てこない。やむなくこの「美と芸術の理論」を手にとった次第だ。これはシラ…
クリスマスに聴こうと思って発注した「クリスマス・オラトリオ」が、遅れに遅れていまごろ届いた。そういえばそんなものを発注したっけ、と自分でもほとんど忘れかけていたくらいだ。手に入れたのはミュンヒンガー盤で、バッハの主要な宗教曲はミュンヒンガ…
和辻哲郎「鎖国」(岩波文庫)上巻読了。和辻の本を読むのはこれがはじめてだ。彼の本をいままで読む気にならなかったのがふしぎなくらいだが、「鎖国」にしろ「風土」にしろ、題名のインパクトが弱すぎるのがその原因のひとつであったことは否めない。義兄…
ハンスリック「音楽美論」(渡辺護訳、岩波文庫)読了。これは1854年に初版の出たもの、つまり150年も昔の本だ。内容的に古いのは仕方がない。とはいえ、このころは古典派もロマン派も出つくした時代で、音楽史の上ではとりあえず一段落ついた時期で…
マゾッホの「聖母」(藤川芳朗訳、中央公論新社)読了。訳者はこの本のあとがきに、「この作品は、いわゆるマゾヒズムとは無縁の作といってよいであろう」と書いているが、私の見るところ、これはマゾヒズム文学以外の何ものでもない。男が女王様に鞭打たれ…