2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

教養主義について

昼休みに会社の近くの古本屋へ行ってみた。珍しく店主が客と話をしている。それを立ち聞き(?)していると、店主が「私は稲垣足穂が嫌いでして……」といっていたので、へえ、そうなのかと思った。そのあとで、「でも足穂は売れるから仕入はしましたがね」と…

「河内カルメン」

三連休をみごとに仕事でつぶされたので、その散欝のつもりで借りたもの。1966年の日活映画で、監督は鈴木清順。見たのは昨日のことだが、見終ってから私には珍しく検索エンジンでこの映画の評判を調べてみた。おおむね好評。ときに絶賛。けなしているの…

スイーツ(笑)に隠されたひみつのなぞ

スイーツ(笑)なんてバカにされているようだが、私は女の子が使うスイーツはあまり気にならない。気になる、というか気に入らないのは男が調子にのって使うスイーツだ。まずこいつらをなんとかしろ、といいたい。きょうは旧知の、しかし新たに同僚になった…

まぎらわしい言葉

きのうは連休前のせいか、道がかなり込んでいた。自分の前をのろのろと走るVitzという車を見ているうち、あるフランスの小話のことを思い出した。新婚の花嫁に向かって、「あなたは夫を愛していますか」とだれかが訊いた。花嫁はそれにこたえて「Evidemment!…

リストマニア──少女愛文学

私が小説をせっせと読んでいたのはもう20年も前の話だ。そのころは巷に出回っていたいろんなリストを参考にしたものだが、そのうち手控えのあるものをここに写しておこう。今回のは「少女愛文学」*1。資料が古いのが難点だが、まるきり役にたたないわけで…

スピノザ「エチカ」(上巻)

畠中尚志訳の岩波文庫。題名に「幾何学的秩序に従って論証された」とあるとおり、はじめに定義と公理とが書き出してあって、本文は定理と呼ばれるいくつもの命題の連鎖とその証明からなっている。こういうもったいぶった書き方のせいで、この本はひどくとっ…

劇薬小説

http://q.hatena.ne.jp/1194736319「どくいり・きけん」な小説というので私もささやかながらオススメをあげておいたが、じっさい劇薬小説というのは多いようで少ないと思う。まず読む側の経年変化により、かつての劇薬が劇薬でなくなるケースがある。十代で…

「修羅雪姫」

検索していたらいつの間にか辿りついた作品(東宝映画、1974年、藤田敏八監督)。冒頭から血しぶきの雨あられだ。しかし、それがけっして醜悪ではなくて、むしろ美しい。美しいといえば、この映画の全体がなんともいえず美しい。よくできた日本画みたい…

ある英文学者のこと

最近「雑」ばかり書いているのは、もう本にしろ音楽にしろネタ切れ気味で、あまり書くことがなくなっているせいです。「両世界」とはもともと本と音楽の世界のことで、このあたりを中心に日記を書こうと思ってはじめたのですが、世界をそんなふうに狭く捉え…

コントラバス女性論(つづき)

楽器を複数台所有している人をよく見かける。それはとくにギター弾きに顕著だ。そんなに同じようなものをいっぱいもっていてどうするのか、と思うが、本人はそれぞれに違いがあって手放せないらしい。私はといえば、ほんとうに気に入ったものを一つだけ所有…

コントラバス女性論

いちおうこんな題名をつけてみたが、うまく書けるかどうかわからない。きょうはS大の学園祭に招かれて、ジャズのスタンダードを何曲か演奏した。このイベントのために、埃をかぶったベースを取り出して数日前からおさらいをやっていた。新しく来た隣人には…