2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

平田篤胤「仙境異聞・勝五郎再生記聞」

神道イデオローグとして名高い(?)平田篤胤による聞き書き(岩波文庫、2000年)。題名にある「仙境」とは「山人の世界」のことである。「仙」という字を分解すると「山人」となるように、古来山人は仙人と混同されてきた。平田篤胤はさらに進んで、こ…

「サラ・ヴォーン・イン・ザ・ランド・オブ・ハイファイ」

1955年録音の作品(ユニバーサル・ミュージック発売。原盤はエマーシー)。このうちの一曲、「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」がたまたまカセットに録音してあって、それを繰り返し聴いていた私は、いつかこの曲が入ったフル・アルバムを聴いてみたいと思って…

小説の未来

kanyさんの記事で水村さんの本の内容はなんとなくわかった、ような気がする。で、その内容はといえば、少なくとも私にはトンデモとは思えない。自分でじっさいにその本を読んでみても、おそらくその八割くらいには同意できるのではないだろうか。八割に同意…

身体改造について

身体改造(body modification)というのがあることを最近知った。ポピュラーなところではピアッシングやタトゥーがある。こういうのはまあファッションとして許容範囲にある。ところが、異物を皮下に注入するインプラントになるとそろそろ病的になってくる。…

英語について感じることなど

「日本語が亡びるとき」という本が話題になっている。私は日本語がなくなるときは地球から日本人がいなくなるときだと思っているから、そんな先のことはどうでもよくて、とりあえず英語の話をすると、いまはこれだけブログが普及しているんだから、英語ので…

宇能鴻一郎頌

私は日本の現代小説が読めない。読めない理由ははっきりしている。それは文体的に堪えがたいものがあるからだ。両村上もダメ、高橋げんちゃんもダメ、島田なんとかもダメ。ダメといえば三島もダメ、高橋和巳もダメ、大江もダメ、要するに戦後作家のほとんど…

柳田国男「遠野物語・山の人生」

岩波文庫に何冊かある柳田本の一冊。フランス文学者の桑原武夫が解説を書いている。さて、ここに収められた「遠野物語」。有名な本だが、じっさいに読んだ人はどれだけいるだろうか。私も今回はじめて読んだくちだが、これはすばらしい作品だと思った。この…

高山宏「目の中の劇場」

「アリス狩り」の二冊目(1985年、青土社)。この本になると、もうアリスはほとんど姿をあらわさなくなる。かわって前面に出てくるのが「ピクチャレスク美学」なるもの。これは要するに世界を絵のように見、絵を世界のように見る視線のことらしい。これ…