2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「舞踏への勧誘〜クナッパーツブッシュ名演集」

この前ちょっと言及したが、あらためていちおう書いておく(DECCA, ユニバーサル・ミュージック)。これはクナッパーツブッシュがウィーンフィルを振ったもので、前に聴いたカラヤン&ベルリンフィルとは好対照をなしている。後者が関東ふうで洗練されている…

カロッサ「ドクトル・ビュルゲルの運命」

手塚富雄の訳本の3冊目(岩波文庫)。カロッサなんて聞いたこともない名前だが、どうやら本職は医者のようだ。この本は彼が三十歳台なかばで書いた処女作らしい。青年医師のビュルゲルを主人公とする日記形式の物語で、ちょっと鴎外の「カズイスチカ」を思…

クライスト「ミヒャエル・コールハースの運命」

「ペンテジレーア」を探していたら、こんな本がみつかった(吉田次郎訳、岩波文庫)。いつ、どこで買ったのかまったく覚えていない。ともあれ、短いものだから、これを先に読むことにした。この小説は、分類としては歴史小説ということになるのだろうが、い…

クライスト「ハイルブロンの少女ケートヒェン」

中世を舞台にした恋愛喜劇(手塚富雄訳、岩波文庫)。喜劇といっても、笑うところより泣くところのほうが多い。じっさい、第三幕の後半などは涙で目がかすんで読むのに苦労する。ケートヒェンはジャンヌ・ダルクとウンディーネとを足して二で割ったような少…

ゴシック・ヴォイセズ「知られざる恋人」

Gothic Voices "The Unknown Lover, Songs by Solage and Machaut" (Avie Records, 2006)ソラージュの歌曲を12曲、マショーの歌曲を7曲、交互に並べた作品集。歌っているのはゴシック・ヴォイセズというヴォーカル・グループで、全曲アカペラだ。このCD…

ニーチェ「この人を見よ」

手塚富雄訳の岩波文庫。これを読みながら思ったのは、「ニーチェさん、あんたヤバいよ、病んでるよ……」ということ。とにかく、このヤバさはじっさいに読まないとわからない。古語の「かたはらいたし」とはこういう状況をさしていうのだろう。読まなきゃよか…

ディ・クィンシー「阿片常用者の告白」

田部重治訳の古い岩波文庫(1937年)。ディ・クィンシーは英文学では重要な存在だと思うが、翻訳はあまり出ていないようだ。何年か前に出た「著作集」も値段が高すぎて、一般にはあまり知られずに終ってしまったのではないか。ちくま文庫あたりで主だっ…

あるベーシストの話

寝すぎて頭が痛い。起きるべき時間を8時間ほど超過してから目がさめた。昨日、はじめてピーターソンのアンプを現場で使ってみた。予想以上のすばらしさ。いままでの努力はいったい何だったんだ、と思う。やはりテクノロジーの力は大きい。と同時に、テクノ…

プロチノス「善なるもの一なるもの」

これはたぶん岩波文庫の青帯のなかでも有数の良書だと思う(田中美知太郎訳)。本文、解説ともに間然するところがない。いままで不得要領だったネオ・プラトニズムだが、この本を読んでその核心ともいうべきものをつかんだような気がする。プロチノスの思想…

チャイコフスキー「3大バレエ組曲」

チャイコフスキーの「くるみ割り人形」は子供のころからのフェヴァリットだった。しかし、長いこと手持ちのディスクがなかったので、数年前、ビゼーの曲とカップリングになった廉価盤を買ってみた。で、それを最近とりだして聴きなおしているのだが、聴けば…