2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

アンサンブル・オルガヌム「シャンティイ写本」

Codex Chantilly, Ballades & Rondeaux -- Ensemble Organum(Harmonia Mundi)くわしいデータはアマゾンその他に譲るとして、これはアルス・スブティリオル初心者には向かないCDであることをまずいっておく。理由は、対位法がひどく強調されているので、ち…

蒲松齢「聊斎志異」

夏といえば怪談、ということで、お盆の時期ははずしてしまったが、蒲松齢の「聊斎志異」を手に入れた(人民文学出版社)。これは全体の十分の一ほどの選集で、古い刊本の挿絵が添えられている。この挿絵と、それにつけられた賛(?)だけ眺めていると、いか…

ダニエル・シュミット「ラ・パロマ」

ダニエル・シュミットが亡くなった。彼の作品では、「ラ・パロマ」というのをかつてテレビでみたことがある。これは深夜の放送だったから、半分寝ながら見ていたようなものだが、ふしぎに記憶に残っている。といっても、内容はきれいに忘れてしまった。ただ…

ミシュレ「魔女」下巻

上巻の感想でミシュレのことをロマネスクと書いたが、下巻にいたってその傾向はますます強まる。下巻(正確には「第二の書」)の半分ちかくを占めているのは、1730年前後にツーロンで起こったカディエール事件だ。これはもうほとんどミシュレ版「罪と罰…

「マルセル・シュオッブ、金の面をかぶった男」

去年(2005年)はシュオッブの没後100年だったが、これといってイヴェントもなかったようだ。ところが今年になってナントで回顧展がひらかれたらしい。この本はそのときの図録で、通常ではなかなか見ることのできない写真や図版が満載である(ガリマ…

ミシュレ「魔女」上巻

おおざっぱな印象でいえば、ミシュレは歴史学におけるバルザックのような存在だったのではないか。その主著「フランス史」は、「人間喜劇」とパラレルなのではないか。そう思ったのは、彼がこの「魔女」において鮮明に打ち出している観点が、どこまでも民衆…

リトル・コンソート「チコーニアとその時代」

チコーニアの作品を中心にしたアルス・スブティリオルの作品集(CHANNEL CLASSICS, 1990)。演奏しているのはリトル・コンソートという小編成のアンサンブルで、楽器構成はフルート、ヴィエル、リュート。それにメッゾ・ソプラノが加わっている。はじめて聴…