2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

サイコパス小説二篇

かつて私を死ぬほど苦しめた人間が、じつは典型的なサイコパスだったことをいまごろ知る。それと同時にサイコパスに興味が出てきたので、その手の人間を主人公にした小説があったら読みたいと思って調べてみたら、「教えてgoo」に回答済みの質問がいくつも出…

西脇順三郎「Ambarvalia」

またしても詩の話で恐縮だが、「ウェブでしか読めない西脇順三郎」というサイト?があって、そこに由良君美の書いた回想録が出ている。あまりにもベッタベタの讃辞なので読んでいて気恥ずかしくなってくるが、そういえばこの人は「みみずく英学塾」でも同じ…

花と女と

詩の話ばかりで恐縮だが、詩人の日夏耿之介に「唐山感情集」という漢詩の訳詩集があって、その巻頭を飾るのが清の馮雲鵬の「二十四女花品」というもの。二十四種の花をとりあげて、それを女に見立てて歌った連作である。これには訳者による小引がついていて…

画像検索の鬼

静物画というとたいていの人はセザンヌを思い出すだろう。私もセザンヌの絵は好きだ。しかし、ああいった印象派ふうのもの以外に、むしろ象徴派ともいいたいようなふしぎな魅力をたたえた静物画が17世紀のオランダで続々と描かれていたことはあまり知られ…

ロザリー・L・コリー「パラドクシア・エピデミカ」

高山宏の最新の訳本(白水社)。かなりの大冊で読むのに苦労したので、ちゃんとした感想を書いておくべきか、と思ったが、やめにした。というのも、この本でほんとに自分の血肉になったなあ、と思うのは序論とエピローグだけで、肝腎の本論のほうはよくわか…

ニコラス・ローグ「赤い影」

こわい、こわい! こんな映画は夜にひとりで見るものじゃない! 原題は DON'T LOOK NOW という無愛想なものだが、これと比べたら「赤い影」という邦題のほうがずっと象徴的で、しかも核心に迫っている。赤い影とはつまり死の影で、「死」が赤いレインコート…