2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

喜多尾道冬「音楽の悪魔」

いま注目している某ページに紹介されていたので買ってみた(2001年、音楽之友社)。題名の「音楽の悪魔」とは、diabolus in musicaの訳でもあるらしい。これはれっきとした音楽用語(!)で、いわゆる三全音(トリトーヌス、トライトーン)のことをかつ…

ロック「人間悟性論」下巻

下巻には「言葉に就いて」と「知識と蓋然性に就いて」が収められている。しかし、この二つは上巻に収められた「原理も観念も生得的ではない」および「観念に就いて」ほどには重要でない。おそらくロックの所論は、上巻のふたつのエッセイ(試論)につきてい…

ジョン・ロック「人間悟性論」上巻

去年、ライプニッツの「人間知性新論」を読むための準備として買ったもの(加藤卯一郎訳、岩波文庫)。上巻のおもな内容は経験論に基づく認識論で、こういう考え方は日本人にはわりあいすんなりと受け入れられるのではないかと思う。なによりも、ロックはな…

男の女にあうの路

南方熊楠の「蛇に関する民俗と伝説」(「十二支考」所収)に、こんな話が出ている。「ムショーの艶話事彙(ヂクシヨネール・ド・ラムール)にも、処女が男子に逢見し事の有無は、大空を鳥が飛び、岩面を蛇が這た足跡を見定むるよりも難いと、或名医が嘆じた…

ベートーヴェン「交響曲第7番」

ベートーヴェンの交響曲は、まず3番に感嘆し、5番に驚嘆し、9番に落胆してこんにちにいたっている。で、今回7番を聴いてみた(アーノンクール指揮、ヨーロッパ室内管弦楽団、1990年、ワーナークラシックス)。これを聴いて思うのは、ベートーヴェン…

クリステンセン「魔女」

聞きしにまさる怪作(ベンヤミン・クリステンセン監督、1922年)。こんな映画はいままで見たことがない。しいて似たような映画をあげるとすれば、同じくサイレントの「イントレランス」くらいか。ただし、「イントレランス」がセットの豪華さで見るもの…