2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ケータイ小説としての「クラリッサ・ハーロウ」

近代小説の元祖とされるリチャードソンのクラリッサだが、こんなクソ長い小説を当時だれが読んでいたのだろうか、と考えると、それはやっぱり女性、金と暇のある中流階級以上の女性ではなかったかと思う。男はこんなものは読まないだろう、小説なんぞは女子…

痔のアンソロジー

ここ数日肛門の具合がわるくて、幸い坐薬を入れたらよくなったが、しかしお尻がこういう状態になったのはこれが初めてではない、もうだいぶ前からいわゆる痔ケツになってしまっているようなのだ、情けないことに……まあ一病息災という言葉もあるくらいだから…

厨川白村「狂犬」

サイコパスにはこの世界がどんなふうに映っているのか、かりにサイコパスになったつもりでこの世を眺めたらどんなふうに見えてくるのか、と考えていてふと頭に浮んだフレーズがある。それは「かりに狂犬のこころもちになって世の人を見たならば、かくもあろ…

ジュウル・ルナアル「ねなしかづら」

ルナールの長篇小説だが、こんな内容だとは思わなかった、これではまるでポルノ小説ではないか。後半はずっともやもやのしっぱなし。十九世紀末版「危険な関係」ともいうべき小説(高木佑一郎訳、白水社、昭和12年)。これはじつに不道徳な、けしからん本…

少女時代との出会いと別れ

ネットで遊んでいると、ときどき思いがけないものに出くわす。数日前だが、リンクをたどっていたらメキシコの虐殺動画が出てきてびびった。こういうものまで今ではふつうにネットに上っているのか……非常によろしくない、と思う一方で、文章だけでは伝わらな…

岩田慶治「花の宇宙誌」

古本屋で見かけて、最初のほうに「正法眼蔵」からの引用があるので「おお…」と思って買ったものの、どうも私の求めているような方向の本ではなかった。そればかりではない、読んでいるうちにだんだんムカついてくる。このムカつきは腹立ちとは違う、呑み込め…

わたしにとっての原風景

岩田慶治という人の「花の宇宙誌」(青土社)という本のなかに、「あなたにとっての原風景とは何か」という設問がある。原風景とは、いってみれば自己のアイデンティティの根本を支えている風景やイメージ、もしくは原体験のことだ。そして、学生たちにレポ…