ある訣別の辞


かつて熱中したことどもがもはや何の感興も喚ばなくなっている。あんなに好きだったあれやこれやがひどくつまらない無価値なものにみえてくる。それが老化というものなのかもしれない。

それならそれでいい、かつて私の愛したものたちよ、さらば。私は私の道をゆく。

若いころの愛の対象にしがみついて、その落穂拾いをやることには飽き飽きしてしまった。人生の秋(収穫の時期!)を落穂拾いに費やすなんて、あまりにも情けないではないか。

既知のうちに未知を見出し、未知のなかに既知を探ること、そしてそれを大いなる感興のうちに行うこと、それ以外に自分の生きる道はない。

私は変る、変らないために*1

*1:cf.「私は死ぬ、死なないために」(聖テレサ