2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

子供のための音楽

某ブログでムソルグスキーの「子供部屋」が取り上げられていたので、うちにあるディスクを聴きなおしてみた。これはムソルグスキーの三つの歌曲集をニーザーランズ・ウィンド・アンサンブルという管楽器主体の小オーケストラの伴奏でやっているもの。オリジ…

南方熊楠とシュルレアリスム

「摩羅考に就て」が入っている全集の第三巻(乾元社)には、また「古き和漢書に見えたるラーマ王物語」という文がある。これによると、仏典にはラーマ(「ラーマーヤナ」の主人公)を羅摩と表記しているらしい。また、引用されたお経のなかには「婆伽婆住大…

男根を摩羅と呼ぶこと

イグナチオの「霊操」をみていると、やはり修行のいちばんの敵は性欲だということがわかる。はっきりそう書いてあるわけではないが、行間を読めばそう解釈せざるをえないような局面にしばしば出くわすからだ。同じことは仏教の修行にもあてはまるだろう。古…

ストリンドベリイ「基督」

大正13年に聚英閣という本屋から出たもの(福田久道訳)。一読してあまりのつまらなさに絶句してしまった。これはストリンドベリの遺稿で、「モーゼ」「ソクラテス」とともに「史劇三部曲」をなすものらしい。しかし、この作品をもって推すに、ほかのもた…

アンドレ・ブルトン「超現実主義宣言」

出たときにすぐ買ったものの、なんとなく読む気にならないままほったらかしにしていた本(生田耕作訳、中公文庫)。三つの論文が収められていて、それぞれシュルレアリスムの牧歌時代、闘争時代、諦観時代を画するものになっている。読みはじめてすぐに気が…

イグナチオ・デ・ロヨラ「霊操」

とりあえず読了(門脇佳吉訳、岩波文庫)。とりあえず、というのは、この本はただ読んだだけでは意味がないからだ。それは練習問題つきの参考書を、問題を解かずに解説だけ読むよりももっと意味がない行為だろう。それはともかくとして、霊操とはなにか。そ…

コリャード「懺悔録」

きつい読書(イグナチオの「霊操」)の息抜きとして読んだもの(大塚光信校注、岩波文庫)。これは江戸時代初期のキリシタンの(仮想的)告解録だ。はじめのほうの「教義宣言」の部分は「どちりな・きりしたん」のように師と弟子との問答体になっていて、つ…

パーセル「歌曲集/嘆きの歌」

パーセルはもちろんのこと、エマ・カークビーの歌を聴くのもはじめてだ(オワゾリール/ポリグラム、1982年録音)。CDの帯(たすき?)には「天使の歌声」と書いてある。さて、じっさいはどんなものか。曲の性質にもよるのだろうが、天使というより妖…

プレートル指揮「ドビュッシー、カプレ、シュミット」

引きつづきポオの詩を読んでいる。参考にしているのは島田謹二と日夏耿之介の訳本。どちらも玉石混交で、全体としてどっちがいいともいえないけれども、しいていえば島田のほうだろうか。日夏は措辞に凝りすぎて、古語辞典でも引かなければ読めないような訳…

アビラの聖女テレサ「霊魂の城(神の住い)」

長崎の「聖母の騎士社」という小さい(?)出版社から出ている「聖母文庫」の一冊(高橋テレサ訳)。こんな文庫があるとは知らなかった。目録をみると、けっこうおもしろそうな本がある。この本屋はまた「聖母の騎士」という月刊誌も出していて、最近のバッ…