2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

モリエール「孤客」

本の整理をしていたらひょっこり出てきたので再読(辰野隆訳、岩波文庫)。これはたしかに古典にあるまじき(?)おもしろさだ。メレディスが褒めるのも当然だが、さて芸術的に高いものかどうかとなると、ちょっと疑問が残る。というのも、この戯曲のおもし…

A sax-blowing fairy

由良君美のホガース論(「ディアロゴス演戯」所収)のなかにこんな一節がある。「(「サザック定期市」の絵解きをしながら)バッグパイプ吹きのポーズは、直立した犬と静止した人形と並ぶとき、期せずしてサーカスの雰囲気をかもしだし、フュースリの「真夏…

皆殺しの天使

ネットのニュースで「死に神」という表現を目にして、これはてっきり「死せる神」すなわち「神は死せり」というあれかと思ったら、なんのことはない「死神」のことだった。小学生の作文じゃあるまいし、天下の大新聞が「死に神」なんて表記をするとはねえ*1…

漢語を和語に

会社で研修をふたつ受けた。その内容のうち、ちょっとおもしろいと思ったのは、「漢語を和語に」、一名「「ご」を「お」に変える」というtip。例をあげれば、「ご着席ください」のかわりに「どうぞお掛けください」ということ。これには私も賛成だ。漢語とい…

ドイツ・ハルモニア・ムンディの50年

Scarboさんの記事(たとえばこれ)を読んで気になっていたのを購入。50枚組のボックスセットを自分が買うときがくるとは思わなかった。こういうのは金持ちだけが買えばいいのであって、どうせボックスセットなんぞは本の積読といっしょで、「ただもってる…

本の処分について

http://d.hatena.ne.jp/comc/20080612/1213261952上の記事に触発されて書いてみたが、とくにcomcさんへのレスというわけではなく、ふだん自分が思っていることをだらだらと書いただけ。本(に限らず身辺にたまったもの)の処分はむつかしいところがあって、…

ツルゲーネフ「ハムレットとドン・キホーテ」

「プーシュキン論」と「ファウスト論」を併収(岩波文庫)。訳は「ハムレット〜」を河野与一が、あとのふたつを柴田治三郎が担当している。ともに甲乙つけがたいみごとなもの。「ハムレット〜」と「プーシュキン論」は演説なので、講演口調で訳されているが…

由良君美「ディアロゴス演戯」

1988年に出た美術エッセイ集。青土社から出た一連の「みみずく」シリーズはこの本をもって終了したようだ。さて、20年後のいまこの本を読むと、いろんな意味で感慨ぶかいものがある。まず著者がこの本ではあくまで紹介者に徹していて、とくに研究の領…

ジョージ・メレディス「喜劇論」

「エゴイスト」の著者によるコミック論(相良徳三訳、岩波文庫)。「エゴイスト」の序文に肉づけして例証を入れながら引き延ばしたようなエッセイ。意外とベルクソンのコミック論に近くて驚いた。どういう点がベルクソンに近いかといえば、笑い(あるいはコ…

Natural American Spirit

きょうも更新。きょうはタバコの話。私はかなりのヘビースモーカーで、片時もタバコが手放せない人間ですが、最近はそれがひどくなって、気がつくとふた箱(つまり40本)くらい一日に吸っていることもあり、ちょっとやばいな、と思っていました。しかしニ…