2008-01-01から1年間の記事一覧
なんとか原文で読みきったけれども、自分の英語力のなさにはわれながら呆れ果てる。今回はいちおう精読のつもりで、知らない単語、うろおぼえの単語はぜんぶ辞書を引いて調べてみた。その結果、そのほとんどがアステリスク付き、つまり基本単語であることが…
はてなダイアリーでkinoshitakazuoさんがものすごく詳細な亀山批判をしている。その是非は自分などには判断がつかないが、しかし「カラマーゾフの兄弟」ならば、時間があれば自分にも翻訳できそうな気がする。いや、気がするだけじゃなくて、確実にできる自…
高山氏の本に触発されたわけでもないが、やっぱりアリスは「不思議の国」だけでも読んでおこうと思って本を取り出した。前に買ってあったペンギン・ブックスの子供版のパフィン・ブックスというもの。童話でしかも言語遊戯が満載とあれば、原語版につくにし…
講談社選書メチエの「奇想天外・英文学講義」をところどころ読みなおしていたらちょっと興味が出てきたので、この高名な英文学者の処女作(だと思う)を読んでみようと思って手に取ったのがこれ(1981年、青土社)。もうかれこれ二十年以上も前に出た本…
岩波文庫のお経シリーズの一冊(中村元、紀野一義訳註)。漢訳とその読み下し文、それにサンスクリットからの翻訳が見開き2ページに収まっていて、非常に読みやすい。註がまた念の入ったもので、これだけまとめて通読してもおもしろい。中村元は名前が売れ…
同じ著者の「馬車が買いたい!」の女性版として、若い女性向きに書かれた(と著者のいう)十九世紀パリ風俗史(中公文庫、2000年、原本は1997年刊)。骨子となるのはバルザックの「二人の若妻の手記」で、これは修道院から出たばかりの二人の親友が…
「木村・相良」(独和辞書)でKrug(つぼ、かめ)をひくと、こんな諺が引かれている。 "der Krug geht so lange zum Wasser, bis er bricht." 意味は「悪事はいつかは破綻をきたす」ということらしい。ところで、フランス語にcrucheという言葉があって、これ…
金、銀、瑪瑙、瑠璃、硨磲 玻璃、珊瑚、真珠、玫瑰 琥珀 宝玉の名前には「王」偏のつくものが多い。これは正しくは「玉」偏であって、日本語の「たま」にあたる。上にあげたのは、仏典にいわゆる七宝。七宝なのに十個あるのは、出典によってあげられているも…
シナの詩人で陶淵明くらい「先生」の呼び名が似合うひともいない。自分でも「五柳先生」などと称しているが、彼にはなんとなくひなびた、村夫子然とした面影がある。隠逸伝中の人ながら、たとえば「論語」にたびたび出てくる、あの得体のしれないぶきみな「…
ゴスィック・ローマン詩体で有名な(?)著者の雑文集(1992年、中公文庫。原本は1955年刊行)。短い対話篇を集めたもので、暑いさなかに漫然と読むには適した本。これを読んでいると、なんとなく晩年の永井荷風の顔*1が思い浮んでくる。そして、精…
これはすごい。全篇ほとんどシンメトリーだけで成り立っているような戯曲(高津春繁訳、岩波文庫)。テーバイ攻めの七将がいればテーバイ守りの七将がいる。おのおのは七つの門で一騎打ちの勝負を挑む。この七つの門はおそらく同心円状になった七つの城壁に…
「久しぶりにアクセス状況を見てみたが、あんまり変化はないようだな。だいたい10人前後が見にきてくれているようだね」 「しかしきみは三年もやってるんだろ。それで10人とはちょっと寂しいな」 「たしかにね。でもまあこれで堂々と過疎ブログを名乗れ…
最近では禁煙ファシズムなんていう言葉もできているようだが、このファシズムの意味が昔からよくわからなかった。ファシズムとはべつにファッショという言葉もある。これはそもそもどういう意味合いの言葉だろうか。子供のころ、家の向かいに住んでいた小父…
DHM50枚組のうちの2枚(演奏はヒデミ・スズキ)。この曲集、断片的にはこれまでもちょくちょく耳にしていたが、まとめて聴くのは今回がはじめてだ。で、はじめて聴いた感想だが、「とりつく島もない」というのが正直なところ。なんだろうね、この手応…
先週末からずっと目の調子がわるくて、本もPCも満足に見られなかった。こうなると、いかにふだんから視覚に依存した生活を送っているかがよくわかる。仕方がないから部屋の整理をやっていた。今回はとくに念入りに、机のなかまで引っかきまわした。例によ…
本の整理をしていたらひょっこり出てきたので再読(辰野隆訳、岩波文庫)。これはたしかに古典にあるまじき(?)おもしろさだ。メレディスが褒めるのも当然だが、さて芸術的に高いものかどうかとなると、ちょっと疑問が残る。というのも、この戯曲のおもし…
由良君美のホガース論(「ディアロゴス演戯」所収)のなかにこんな一節がある。「(「サザック定期市」の絵解きをしながら)バッグパイプ吹きのポーズは、直立した犬と静止した人形と並ぶとき、期せずしてサーカスの雰囲気をかもしだし、フュースリの「真夏…
ネットのニュースで「死に神」という表現を目にして、これはてっきり「死せる神」すなわち「神は死せり」というあれかと思ったら、なんのことはない「死神」のことだった。小学生の作文じゃあるまいし、天下の大新聞が「死に神」なんて表記をするとはねえ*1…
会社で研修をふたつ受けた。その内容のうち、ちょっとおもしろいと思ったのは、「漢語を和語に」、一名「「ご」を「お」に変える」というtip。例をあげれば、「ご着席ください」のかわりに「どうぞお掛けください」ということ。これには私も賛成だ。漢語とい…
Scarboさんの記事(たとえばこれ)を読んで気になっていたのを購入。50枚組のボックスセットを自分が買うときがくるとは思わなかった。こういうのは金持ちだけが買えばいいのであって、どうせボックスセットなんぞは本の積読といっしょで、「ただもってる…
http://d.hatena.ne.jp/comc/20080612/1213261952上の記事に触発されて書いてみたが、とくにcomcさんへのレスというわけではなく、ふだん自分が思っていることをだらだらと書いただけ。本(に限らず身辺にたまったもの)の処分はむつかしいところがあって、…
「プーシュキン論」と「ファウスト論」を併収(岩波文庫)。訳は「ハムレット〜」を河野与一が、あとのふたつを柴田治三郎が担当している。ともに甲乙つけがたいみごとなもの。「ハムレット〜」と「プーシュキン論」は演説なので、講演口調で訳されているが…
1988年に出た美術エッセイ集。青土社から出た一連の「みみずく」シリーズはこの本をもって終了したようだ。さて、20年後のいまこの本を読むと、いろんな意味で感慨ぶかいものがある。まず著者がこの本ではあくまで紹介者に徹していて、とくに研究の領…
「エゴイスト」の著者によるコミック論(相良徳三訳、岩波文庫)。「エゴイスト」の序文に肉づけして例証を入れながら引き延ばしたようなエッセイ。意外とベルクソンのコミック論に近くて驚いた。どういう点がベルクソンに近いかといえば、笑い(あるいはコ…
きょうも更新。きょうはタバコの話。私はかなりのヘビースモーカーで、片時もタバコが手放せない人間ですが、最近はそれがひどくなって、気がつくとふた箱(つまり40本)くらい一日に吸っていることもあり、ちょっとやばいな、と思っていました。しかしニ…
昭和10年の刊行以来、こんにちまで読まれつづけている名著(岩波文庫)。あまりに名高いので感想を書くのもはばかられるが、巻末の解説(井上光貞)によると、批判も少なくないらしい。たしかに学術書としては、著者の個人的体験が前面に出すぎているかも…
なんということだろう。以前こちらにコメントをくださったid:yskszkさんが亡くなったらしい。もう長いこと氏の日記を見に行ってなかったが、きょう、なにか急に気になって見に行くと*1、いっぱいトラックバックがあって、いったいどうしたのか?と一つ目のを…
今回手に入れたのは次の3枚。"60 French Girls Can't Be Wrong!" "60 French Girls Can't Be Wrong!, vol.2" "60 French Girls"発売元はいずれもABC PARAMOUNTで、発売年は不明(いわゆるs.d.)。3枚もいっぺんに手に入れて、聴くのが大変ではないか、と思…
外での仕事を終えて会社に戻ってみると、オフィスがみごとに整理されていて、いつもは書類でいっぱいの私の机にはなにもなく、その机がいくつか一箇所に集められて、上にテーブルクロスがかかっている。会議か、あるいはなにかべつの用事のためにオフィスを…
そのむかし、レ・ジーン・シンガーズという、十三歳から十六歳までの少女ばかり集めた60人編成のコーラスグループがあって、これがちょっと気になっていた。このグループの音で私の聴いたのは、シャンソンのオムニバス盤に入っていた「セ・シ・ボン」だけ…