LPプレイヤー復活

sbiaco2008-05-22



そのむかし、レ・ジーン・シンガーズという、十三歳から十六歳までの少女ばかり集めた60人編成のコーラスグループがあって、これがちょっと気になっていた。このグループの音で私の聴いたのは、シャンソンのオムニバス盤に入っていた「セ・シ・ボン」だけだが、ヤフオクを見たら彼女らのLPが3枚出ていたので、例によって魔がさして、つい入札、ついで落札してしまった。

私はいっとき、今後いっさいLPは聴かない、と決意して、じっさい10年くらいLPプレイヤーは放置していた。ところが、こういう買い物をすると、どうしてもLPプレイヤーが必要になってくる。新品を買おうか、と思ったけれど、評判の高いテクニクスのSL1200を見ると、あまりのDJ仕様に買う気がうせた。

となるとうちにある旧式のやつを引っぱり出すしかない。とりあえず針を交換して、アンプに接続してみた。が、なんと! 音がまともに出ない。やはりダメだったか、という思いと、どこかで間違いをやらかしているのでは?という思いとで、いろいろと調べてみると、どうやら最近のアンプはLPが聴けるようになってなくて、LPプレイヤーを接続するにはフォノイコライザーという一種のプリアンプを通さないといけないらしい。

で、きょうそれを買ってきた。レ・ジーン・シンガーズはとりあえず置いといて、うちにあるLPを取り出してあれこれ聴いてみた。この50枚ほどのLPは私の音楽体験における「前史」を形成している。ジャズが多いけれども、ロックやポップスも少なくない。代表的なところでカーペンターズとか。これらを聴いていると、懐かしいというよりも、いかにも時代の音だな、という気がする。むかし、裕福な家庭にはかならずあった家具のようなステレオセットが目に浮かぶようだ。

ともあれ、今回LPプレイヤーを復活させてくれたレ・ジーン・シスターズには感謝したいと思う。しかし、これらのレコードはいつごろ出たものだろうか。ジャケットにもレーベルにも、いっさい日付の記載がない。ジャケットのデザインやら保存状態からみて50年代末から六〇年代初めくらいだろうか。となると、当時の少女たちもすでに六十歳から七十歳くらいにはなっている勘定だ。

六十歳になっても七十歳になっても、イヴはどこまでもイヴだ。レコードに封印された彼女らの青春と、そこに吹く時代の風とをあくまでも愛でていたいと思う。