Natural American Spirit
きょうも更新。きょうはタバコの話。
私はかなりのヘビースモーカーで、片時もタバコが手放せない人間ですが、最近はそれがひどくなって、気がつくとふた箱(つまり40本)くらい一日に吸っていることもあり、ちょっとやばいな、と思っていました。しかしニコチンの依存症はなかなか抜きがたいもので、どんなにがんばっても一日にひと箱ちょっとは吸ってしまうのでした。
1ヶ月くらい前でしたか、外出したときにライターをうちに忘れてきて、取りに帰るのもめんどくさいので、行きつけのタバコ屋でマッチをもらうことにしました。そのときおばさんが無造作につかんで渡してくれたマッチのなかに、ナチュラル・アメリカン・スピリットというタバコの販促マッチがありました。私は電車を待っているあいだ、このタバコの宣伝を読んでみました。
その内容は、こちらのページに見られるものとほとんど同じです。特徴をかいつまんでいえば、化学物質が無添加であること、タバコの葉が通常のものより25パーセント多く入っていること、です。
この宣伝を読んで興味をもった私は、次の日にこのタバコを買ってみました。値段はちょっと高くて340円でした。
はじめ何本か吸ったときの感想は、「なんだか軽くて吸った気がしないな」というものでした。タール12ミリはそんなに軽くはないはずなのですが、どうもいままで吸っていたもの(セブンスターやラーク)とくらべて、ガツンとくるものがないのです。ひとくちにいって、パンチ不足なのです。これは失敗したかな、と思いました。
しかし、です。このタバコをひと箱吸いおわるころには、このタバコのもつふしぎな魅力に薄々ながら気がつきはじめました。というのも、このナチュラル・アメリカン・スピリットなるタバコ、一本吸うとそれだけでなにか体のすみずみまでニコチンが行きわたるような気がするのです。体が深い満足に入る、といえばいいでしょうか。ふつうのタバコよりも25パーセント葉が多く、しかも燃焼剤を加えていないので、火の廻りが遅くて、一本吸うのに時間がかかるということもあるでしょう。しかしそれだけではないのではないか。
というのも、私をひどいニコチン依存症(というかタバコ依存症)に駆りたてていたのは、じつはニコチンではなくて、タバコに加えられた化学物質だったのではないか、と思ったからです。タバコの葉そのものには、それほど依存症をひきおこす物質は入っていないのではないでしょうか。そしてヘビースモーカーは、ちょうど宿酔の人が迎え酒で酔いをさますように、タバコの化学物質で変調をきたした体を、タバコを吸うことでごまかそうとして、次々にタバコに火をつける結果になるのではないでしょうか。
じっさい、このタバコを吸うようになってから、胃がわるくなったり頭痛がしたりすることはほとんどなくなりました。しかも一本吸えばそれでかなり満足できるので、一日に吸う本数はぐっと減ります。それだけ依存症が解消されたのでしょう。この調子でいくと、まったく吸わなくても困らないのではないか、と思うほどです。
そして、依存症から解放されたスモーカーは、今度は自由な嗜好品として、純粋にタバコを楽しむことができるようになるわけです。
そんなわけで、私にとってはまさに理想のタバコといってもいいのですが、いっぽうでこのタバコはJTの出しているほかのタバコに対して、非常に危険な存在になりうるのではないか、とも思います。というのも、このタバコを吸いだすと、ほかのタバコを吸う気がしなくなる。つまり、このタバコが売れれば売れるほど、他のタバコの需要はそれだけ減るわけで、いままで添加物満載で依存症の人間を大量生産して需要を拡大してきたJTにとってはまさに獅子身中の虫です。
しかも、このタバコは依存性が少ないので、吸わなくてもどうということはない。これがどういうことかといえば、禁煙が非常に楽にできるわけです。禁煙する人がふえれば、必然的にタバコの売り上げが減ることになり、税金をはじめいろんなところに影響が出てくるでしょう。
JTとしては、そうなる前に手を打つはずです。具体的にいえば、ナチュラル・アメリカン・スピリットの国内販売停止。
そうなっては私としては困るので、このタバコがあまり世に広まらず、一部の愛好家が細々と吸っているという状況が変らないことを望んでいます。