ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」


なんとか原文で読みきったけれども、自分の英語力のなさにはわれながら呆れ果てる。今回はいちおう精読のつもりで、知らない単語、うろおぼえの単語はぜんぶ辞書を引いて調べてみた。その結果、そのほとんどがアステリスク付き、つまり基本単語であることが判明した。こんな語彙では童話を読むのも一苦労だ。いったいいつになったら英語の初級を脱出できるのか。

しかし、そんないいかげんな語学力でも、この本のおもしろさを味わうのにはまったく問題ない。いままでもっていた「アリス」に対する偏見などははことごとく粉砕されてしまった。なるほど高山氏が夢中になるのもうなずける。この前書いたキャロルの悪口は全面的に撤回したい。

心配していた言葉遊びもそんなに「さむい」ものではなくて、思わずにやりとさせられるようなのが多い。これはこれで日本語での処理がどうなっているのか興味がある。前にも書いたように、本屋で確認してみたい。

あと、私が子供のころに読んだ絵本は、アリスが夢からさめるところで終っていたが、原作にはこのあとにお姉さんのエピソードがついている。このエピソードがすばらしい。キャロルの詩人としての資質がじつによく出ていると思う。

ともかくも、これでなんとかブレークスルーは果したような気分だ。なんのブレークスルーかは自分でもよくわからないが。

最後に、モック・タートルの回想に出てくる駄洒落で気に入ったのがあったので、それをもじって一行プロフィールをつくってみた。つまらないかもしれないが、自分ではけっこう気に入っている。とうぶんはこれで行こうと思う。


(付記)
モック・タートルのLaughing, Griefだが、邦訳では「珍糞漢文(ちんぷんかんぷん)」となっているのではないか、という気がしてきた。これも自分ならそう訳す、というだけのことかもしれないが。