音楽

オーランド・コンソート「教皇と対立教皇」

14世紀の教皇対立時代に、アヴィニョンとローマの宮廷のために書かれた歌曲をあつめたCD(原題:POPES AND ANTIPOPES、メトロノーム盤)。しばらく前からアルス・スブティリオルを中心に、この時代のCDを聴いているが、おかげで知らずしらずのうちにカ…

ヴィシネフスカヤのロシア歌曲集

ガリーナ・ヴィシネフスカヤ。名前をみただけで一種の風格がただよう。私には縁遠いロシアのオペラ歌手らしいが、彼女がムソルグスキーの「死の歌と踊り」を歌っているというのでCDを買ってみた。EMIから出ているGREAT ARTISTS OF THE CENTURYというシ…

マヌエル・デ・ファリャとパコ・デ・ルシア

マヌエル・デ・ファリャの作品のうち、ロルカの「すばらしい靴屋の女房」の世界にいちばん近いのが「七つのスペイン民謡」だ。これは形式的にはリートやメロディと同じくピアノ伴奏による独唱だが、そのピアノ・パートがちょっと変っていて、あきらかにギタ…

ムソルグスキー「死の歌と踊り」

前にちょっとふれたムソルグスキーの歌曲集(オランダ、ドレームス盤)の終りのほうに、「死の歌と踊り」という曲が入っている。「子供部屋」と同じくとっつきにくい曲で、ほとほと持て余していたが、それでも何度も聴くうちにだんだん勝手がわかってきた。…

子供のための音楽

某ブログでムソルグスキーの「子供部屋」が取り上げられていたので、うちにあるディスクを聴きなおしてみた。これはムソルグスキーの三つの歌曲集をニーザーランズ・ウィンド・アンサンブルという管楽器主体の小オーケストラの伴奏でやっているもの。オリジ…

パーセル「歌曲集/嘆きの歌」

パーセルはもちろんのこと、エマ・カークビーの歌を聴くのもはじめてだ(オワゾリール/ポリグラム、1982年録音)。CDの帯(たすき?)には「天使の歌声」と書いてある。さて、じっさいはどんなものか。曲の性質にもよるのだろうが、天使というより妖…

プレートル指揮「ドビュッシー、カプレ、シュミット」

引きつづきポオの詩を読んでいる。参考にしているのは島田謹二と日夏耿之介の訳本。どちらも玉石混交で、全体としてどっちがいいともいえないけれども、しいていえば島田のほうだろうか。日夏は措辞に凝りすぎて、古語辞典でも引かなければ読めないような訳…

「クラシック様式〜第一ウィーン派」

砂川しげひさ氏の快著「なんたってクラシック」(朝日文庫)に、「キセル・マニア」という言葉が出てくる。音楽史の初めとうしろ(たとえばグレゴリオ聖歌とアイヴス、ケージ)しか聴かないファンのことだ。ここまで極端なひとも少ないと思うが、さてわが身…

イアン・カー〜ニュークリアスのCD2枚

このところ、「ジャズ・イン・ブリテン」をきっかけに昔の英国ジャズばかり聴いているが、そんななかでも前から気になっていたのが、イアン・カーの「ベラドンナ」だ。これはCD化された形跡もないし、たまに見かけるLPもばか高い値段がついていて、どう…

ブリティッシュ・ジャズについて

さきに買った「ジャズ・イン・ブリテン」につづき、英国ジャズを数枚購入。「ワンス・アポン・ア・タイム」(アラン・スキドモア・クインテット、1970年) 「ザ・トリオ」(サーマン、フィリップス、マーチン、1970年) 「トリオ」(マイク・テイラ…

「ジャズ・イン・ブリテン '68-'69」

オーディオを新しくしてから、低音の鳴りと楽器の分離がかなりよくなったので、ドラムとベースを中心にジャズを聴きなおしている。といっても、この分野でも私の関心の幅は狭くて、興味の中心は60年代末から70年代初めにかけてのヨーロッパのジャズに限…

「リラの花咲くころ〜ショーソン歌曲集」

ナタリー・シュトゥッツマン(コントラルト)とインゲル・ゼーデルグレン(ピアノ)とのコンビによる歌曲集(BMGジャパン)。ショーソンの歌曲では「愛と海の詩」が代表作とされているようだが、とりあえず小さい歌曲集から聴いてみることにした。歌曲の…

バッハ「ヨハネ受難曲」

なかなか手に入らなかったのをようやっと入手(ミュンヒンガー指揮、デッカ)。これはeloquenceという廉価盤だが、そのせいかどうか、歌詞カードがついていない。そういえば、この前買ったフランス・ハルモニア・ムンディの「アルス・スブティリオル」(セン…

「アルス・スブティリオルからルネサンスの夜明けへ」

アルス・スブティリオルの3枚目が届く(ハルモニア・ムンディ盤)。これはどうも企画物の一環として作られたCDらしい。その企画というのは、「センチュリー」と題された20枚のCDの集録で、なかなか魅力的な題名のものが多いから、ここにぜんぶ書き出…

ニュー・ロンドン・コンソート「アルス・スブティリオル」

アルス・スブティリオルの2枚目が届く(LINN)。前のプロジェクトPANのものよりもだいぶ聴きやすい。その理由の一つとして、こちらの演奏では歌が一人の歌手によって歌われていて、重唱曲がないということがあげられる。重唱ではどうしても対位法が強調…

グレン・グールド「エクスタシス」

そのモグラのような風貌とあり方とが災いして、いままで聴く気にならなかったグールドだが、レンタル屋にDVDが置いてあったので借りてみた。プログラムのほとんどが、彼のひととなりを語る複数の証人の談話にあてられていて、彼の演奏そのものは断片的に…

アメリンク関連のCD2枚

「シューベルト歌曲集2」(フィリップス) バッハ「カンタータ80番、140番、147番、モテット第3番」(EMI)の2枚を入手。バッハのものは、1957年に出たジェレイント・ジョーンズのものと、1967年に出たヴォルフガング・ゲネンヴァイン…

アンサンブルP.A.N.「アルス・マギス・スブティリテル」

はじめは洒落のつもりで聴いていたウエルガス・アンサンブルのCD(「中世・ルネサンス音楽への招待状」)だが、だんだん洒落ではすませられなくなってきた。これはウエルガス・アンサンブルの10枚のCDからのハイライト集で、題名のとおり初心者には絶…

バッハ「クリスマス・オラトリオ」

クリスマスに聴こうと思って発注した「クリスマス・オラトリオ」が、遅れに遅れていまごろ届いた。そういえばそんなものを発注したっけ、と自分でもほとんど忘れかけていたくらいだ。手に入れたのはミュンヒンガー盤で、バッハの主要な宗教曲はミュンヒンガ…

ホフマン「室内楽集」

E.T.A.ホフマンの「室内楽集」(cpo)を聴く。これは「ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重奏曲」、「ソプラノとテノールのための6つのイタリア歌曲」、「ハープと弦のための五重奏曲」を収めたもの。ざっと聴いた印象では、最初のものがいちばんいい…

中世、ルネサンスの音楽

先日アマゾンに発注していたCDが届く。「中世・ルネサンス音楽への招待状」(ネーヴェル、ソニー) 「十字軍の音楽」(ロンドン古楽コンソート/マンロウ、デッカ)アマゾンの「どちらもおすすめ」に従って2枚買ったわけだが、これは買っていいことをした…

マニエリスム音楽

クープランの綾織のような繊細な音の連なり聴いていると、どうしてもマニエラという言葉を想起せずにはいられない。マニエラとはもともと「手」に由来する言葉で、そこから手法、様式の意味になった。イタリアでは日常語に属するが、日本ではほとんどもっぱ…