ブリティッシュ・ジャズについて

sbiaco2006-04-15



さきに買った「ジャズ・イン・ブリテン」につづき、英国ジャズを数枚購入。

「ワンス・アポン・ア・タイム」(アラン・スキドモア・クインテット、1970年)
「ザ・トリオ」(サーマン、フィリップス、マーチン、1970年)
「トリオ」(マイク・テイラー・トリオ、1967年)

いずれも最近のCDによる再発盤。

ジャズくらい上部構造と下部構造とが截然とわかれる音楽もないと思うが、私が興味をもって聴くのはほとんどもっぱら下部構造、すなわちリズム・セクションといわれるパートだ。極端なことをいえば、ベースとドラムさえあれば音楽になってしまうのがジャズだろう。今回買ったCDでは、トニー・オクスレー、スチュ・マーチン、ジョン・ハイズマン(以上ドラムス)、バール・フィリップス、ジャック・ブルース(以上ベース)などが参加していることが購入のさいの目安になる。

ジョン・サーマンとマイク・テイラーのものはともに「トリオ」と題されている。とくに三人にこだわったわけでもないと思うが、この時期にトリオで演奏するということは、やはりジミ・ヘンドリックスの音楽になんらかのかたちで影響を受けているのだろうか。思えばジミこそは、20世紀の音楽を根本的に(それもたぶんわるいほうへ)変えてしまった革命児だった。

もちろん、そういったからといって、ジミの音楽がすばらしいことに変りはない。70年前後の英国ジャズの台頭は、ある意味でジミ・ヘンドリックス革命の余沢とみることも可能だろう。しかし、それはやがてロックの大波のなかへ巻きこまれてしまう(上にあげた例でいえば、ハイズマンはコロシアムを、ブルースはクリームを結成する)。英国ジャズには、そういう時代の谷間に咲いたあだ花といった風情がある。私がもっとも愛するのはそのエフェメラの美だ。