中世、ルネサンスの音楽


先日アマゾンに発注していたCDが届く。

「中世・ルネサンス音楽への招待状」(ネーヴェル、ソニー
「十字軍の音楽」(ロンドン古楽コンソート/マンロウ、デッカ)

アマゾンの「どちらもおすすめ」に従って2枚買ったわけだが、これは買っていいことをしたと思う。一聴しただけでただちに気に入るようなCDは最近ではまれだからだ。おおざっぱな印象を述べれば、前者がおもに宮廷や教会での「改まった」音楽だとすれば、後者は吟遊詩人の系列に属するところの、「世俗的な」音楽だということができるだろう。このふたつの流れは現在までずっと継続して存在している。そしていまでは、後者が前者を完全に圧倒している。

この2枚のCDについてなにか書くには、もう少し聴きこんでみる必要があるが、ひとつだけ書いておきたいのは、ここに聴かれる音楽がけっして古めかしい印象を与えないことだ。いや、それどころか、私の耳にはモーツァルトなどよりもはるかに清新な音楽に聞こえる。この奇妙な遠近法の狂いはどこから生じるのだろう。初めから古いものはいつまでも新しい、といったこととも違うような気がするのだが。