「ジャズ・イン・ブリテン '68-'69」

sbiaco2006-03-31



オーディオを新しくしてから、低音の鳴りと楽器の分離がかなりよくなったので、ドラムとベースを中心にジャズを聴きなおしている。といっても、この分野でも私の関心の幅は狭くて、興味の中心は60年代末から70年代初めにかけてのヨーロッパのジャズに限られている。どういうわけか、このあたりのものがいちばん自分には合うような気がするのだ。

今回買ったのは、当時のブリティッシュ・ジャズの精鋭をあつめて作られた企画もの(デッカ原盤、vocalion)。ジョン・サーマン、アラン・スキッドモア、トニー・オクスレーというメンバーからして、きっとめちゃくちゃなフリー・ジャズをやっているに違いないと思って買ってみたら、意外にふつうのジャズ、ハンコックふうのモード・ジャズをやっているので拍子抜けがした。

イギリスはもともとロックが盛んな国なので、そちらからの影響もだいぶ受けているようだ。それと、昔からのクラシックの伝統がある。そういったものが渾然一体、いや混沌一体となって、そのマグマのようなエネルギーのなかから可憐な花を咲かせているところが当時のヨーロッパ・ジャズの魅力だ。

このCDには、アラン・ジャクソンとトニー・オクスレーという二人のドラマーが参加している。どちらもすばらしいけれども、とくにトニー・オクスレーの理性と野性とが共存した演奏には鬼気せまるものがある。クラシックを聴いていてはなかなか満たされない打楽器に対する渇をじゅうぶんにいやしてくれた。