2009-01-01から1年間の記事一覧

関口存男ドイツ語教

「関口存男の「冠詞」という三巻本が復刻版で出たらしいが、一冊が5万円もする」 「5万円かぁ。そんな値段をつけて、いったいだれが買うんだろうね」 「さあね。でも関口には信者のような人がいまでもいるみたいだから、そういう人は買うんじゃないかな。…

エリー・アメリンク「歌の翼に」

フランツさんのところで、今日がアメリンクの76回目の誕生日だったことを知った。そこで自分でもなにか書いて彼女の記念日を寿ぎたいと思った。さて何について書くか、と迷ったが、もう長いこと書こう書こうと思いながらのびのびになっているCDがあるの…

フェラーラ・アンサンブル「パヴィアの甘美なる城館にて」

1998年に仏ハルモニア・ムンディから出たCD(原題:En doulz chastel de Pavie)。副題に「1400年前後のヴィスコンティ家の宮廷における歌曲集」とあるように、なんらかのかたちでヴィスコンティ家と関わりのあった芸術家の曲があつめられている。…

生田耕作・坂井輝久「洛中洛外漢詩紀行」

1994年に人文書院から出た本。名高い(?)仏文学者の名前が出ているけれども、彼は本書が世に出るきっかけをつくっただけで*1、直接的にはたぶんなにもしていない。原稿はすべて坂井氏が書いたものと思われる。ならば坂井氏の単著として出せばいいよう…

兎を懐く月

満月を見て、ああ、兎が餅をついているな、と考えるのはたぶん日本人だけだと思うが、餅つきはともかく兎の姿を月にみとめる例は他の国にもあるみたいだ。ひとつはインド。カーリダーサの「天女ウルヴァシー」にこんな詩がある。「兎を宿す月輪の かの光芒は…

40歳のオタクについて

百貨店の商品券をもらったので、それを換金するために金券ショップへ行くと先客がいて、なにやら記念切手らしきものを買っている。それを見ていて、そうだ、自分の子供のころは切手集めという趣味があったっけ、そういえば古銭集めというのもあったなあ、な…

「ピブラック」について

きのうの日記はあまりのばかばかしさに削除してしまったが、そこで言及したピエール・ルイスの猥褻詩「ピブラック」について検索してみると、なんと、この長大な詩を訳してブログで公開している人がいた。しかも念入りに韻まで踏んで。よくもやったな、と感…

ヴィヨンの詩の解釈について

先日ふれた「巴里幻想訳詩集」の月報に、南條竹則という人がヴィヨンの有名な「疇昔の美姫の賦」の末尾の四行詩(いわゆる反歌)について書いている。ここで南條氏が褒めている日夏耿之介の訳がすぐれたものであることは私としても異存はないが、それはそれ…

女の子が空から降ってくる話(はてな限定)

これに便乗→http://q.hatena.ne.jp/1231366704 むかしシナの杞の国に愚人がいて、もしも空が落っこちてきたらどうしよう、とかわけのわからないことを考えては気に病んでいた。しかしそんな彼も空から女の子が降ってきたらどうしよう、とまでは考えなかった…

「巴里幻想訳詩集」

去年(2008年)、国書刊行会から出た本。おもに戦前に出た異色の訳詩集を五つ集めてある。 「恋人へおくる」(矢野目源一、昭和8年、第一書房) 「ヴィヨン詩抄」(城左門、矢野目源一、昭和8年、椎の木社) 「夜のガスパァル」(西山文雄、城左門、昭…

ペイターについて

anatorさんのところ(→http://ameblo.jp/anator/entry-10187598067.html)でペイターが取り上げられていたのでちょっとネットで調べてみたら、ふたつのことに気がついた。ひとつはりっぱな──おそらく──全集が日本で刊行されていること。もうひとつは日本語の…