「修羅雪姫」

sbiaco2007-11-11



検索していたらいつの間にか辿りついた作品(東宝映画、1974年、藤田敏八監督)。冒頭から血しぶきの雨あられだ。しかし、それがけっして醜悪ではなくて、むしろ美しい。美しいといえば、この映画の全体がなんともいえず美しい。よくできた日本画みたいな美しさといえばいいだろうか。

主演の梶芽衣子がまたいい。この人は「さそり」シリーズ(古いなあ……)で有名なのだが、やはりいじめられる役がいちばん似合うような気がする。今回の映画では刺客として男どもを血祭りにあげる役なのだが、設定そのものがもう究極の「いじめ」ではないかと思う。なにしろ生まれたときから(それも獄中で!)親のかたきを打つことだけを生きがいに、いっさいの楽しみを犠牲にしてひたすら人殺しの技術を教わってきたのだから。ここではいじめの主体は「宿命」そのものなのだ。

主題歌の「修羅の花」がまたすばらしい。子供のころにラジオで聴いてひどく印象的だったもので、彼女は歌手としても一流だと思う。アマゾンでみると「全曲集」として彼女の歌が集大成されている。これ、買おうかな、と思ってしまった(値段はちょっと高いが)。

この映画の見どころはやはり殺陣のシーンで、平素は宿命の重みに押しひしがれた女がここぞとばかりに大立ち回りを演ずる。これがまたカッコいい。これを見ながら、ふと「あずみ」のことを思い出した。「あずみ」はテレビで一部分見ただけだが、アクション・シーンだけは秀逸だった記憶がある。いまさらかもしれないが、これも改めて見てみたい。