「河内カルメン」

sbiaco2007-11-27



三連休をみごとに仕事でつぶされたので、その散欝のつもりで借りたもの。1966年の日活映画で、監督は鈴木清順

見たのは昨日のことだが、見終ってから私には珍しく検索エンジンでこの映画の評判を調べてみた。おおむね好評。ときに絶賛。けなしているのは絶無だった。そりゃそうだ、こんなによくできた映画も少ないと思う。全篇異様なスピード感と、シュールとしかいいようのない奇妙な映像満載のドタバタ喜劇。ドタバタ喜劇なんて死語かもしれないが、スラップスティックというにはあまりに泥くさい。それでいて時空を超越したようなおしゃれでモダンな趣がある。相反するものが次から次へと交錯して、まるで夢のなかで夢を見ているような気分になってくる。夢からさめたと思ったらまた夢。ヒロインは最後に「うち、東京行くわ」といって今度はどうやら東京へ出かけるようだが、この河内娘は東京でもまたぞろ同じようなことを繰り返して故郷に戻ってくるのではないかと思わせる。おおげさかもしれないが、ここには永劫回帰の夢がある。それだけに刹那刹那のエピソードが切ないほどの情緒をともなって印象づけられる。

いままでは映画に関しても洋モノ志向がつよかったわたくしだが、この前「修羅雪姫」を見てから、日本映画の魅力に遅まきながら気がついた。その魅力はおもにセットとカメラワークにある。ひとことでいえば「絵」的な要素。考えてみれば、日本はこと絵画に関しては世界のどの国にも負けないだけの蓄積があるのだから、それを有効に活用できる映画にすぐれたものが多いとしてもなんのふしぎもない。

例によっていっときの興味かもしれないが、この機会に日本映画の古典的なところはおさえておきたいと思っている。

酔っぱらって書いているので支離滅裂の段はご容赦を。