フリッツ・ラング「M」
いわずと知れた名作。きのうの日記でちょっと触れたので探してみると、これまたニコニコ動画にアップされている。古典的な映画に関してはもうパソコンがあればDVDを借りる必要もなさそうだ。
これはだいぶ前にビデオで見たが、筋はほとんど忘れていた。いま見直してもわかりにくい箇所が多々ある。はっきりいってぐだぐだの展開。ペーター・ローレの演技もそんなにいうほどうまいかなぁ。
この映画について語られるとき、かならずといっていいほど引き合いに出されるナチス台頭と、それからペーター・キュルテンとの関連もやはりよくわからなかった。こういうのは調べればすぐにわかるのだろうが……
本作において見るべきはやはり全体の雰囲気と絵のおもしろさだろう。それと当時のドイツの風俗。日本でいえば昭和初期だが、それほど古めかしさは感じない。男どもの服装にしても、ここまで大時代だといっそモダンにみえてしまう。自分もシルクハットにフロックコート、つけたりステッキといういでたちで町を闊歩してみたいと思った*1。
この映画では少女の優雅なカーツィーが見られる。私がはじめてこの所作に注目したのがこれだった。
この手の犯罪映画、とくにシリアルキラーを主役にしたものとしては、ボロヴズィックの「ジキル博士と女たち 暴行魔ハイド」がいちばんの怪作だろう。スティヴンソンの有名な小説を映画化したものだが、内容からすればむしろ切り裂きジャックものに近いと思う*2。