セルジュ・ブールギニョン「シベールの日曜日」

sbiaco2009-04-24



1962年のフランス映画。かつて母の友人が見て大感動した、というので気になっていたもの。一年ほど前にレンタル店で見つけて、そのうち借りようと思っていたら、いつのまにか店がつぶれていた。とうぶん見るのは無理そうだったが、意外なことにニコニコ動画にアップされている。さっそく会員登録→鑑賞という流れになった。

その動画というのはこれ→シベールの日曜日−1 by khui エンターテイメント/動画 - ニコニコ動画。BSで放送されたものを6分割したもの。

さてこの映画について、種村季弘がこう書いている。「いつぞや『シベールの日曜日』という変質者の純愛物が評判だったが、皆さんあれは純愛映画として感心していたのか、それとも純愛が刻々犯罪に化身するパロディとして観たのか、一遍聞いてみたいような気がする」と。

私はといえば、こういうシニカルな見方には賛同できない。百歩譲ってこれがパロディだとしても、いったいなにを元ネタにしたパロディなのか。おそらくナボコフの「ロリータ」とかフリッツ・ラングの「M]あたりを想定しているのではないかと思うが、この映画の切なさや美しさはむしろヴィム・ヴェンダースの「都会のアリス」とかロバート・ネイサンの「ジェニーの肖像」などに通じるものがある。

主人公のピエールは変質者かもしれないが、変質者には変質者なりのピュアネスがあるのではないか、というのが私の意見。

それとあとひとつ書いておきたいのは、この映画のヒロインが、ロリータ系でもアリス系でもない、モネル系(?)に属するタイプだということ。モネル系なんてあまりにもマイナーで前の二つと肩を並べるわけにはいかないけれども、彼女の言動に「モネルの妹」を感じてしまうのは私だけではないと思う。