ベートーヴェン「交響曲第7番」

sbiaco2006-10-06



ベートーヴェン交響曲は、まず3番に感嘆し、5番に驚嘆し、9番に落胆してこんにちにいたっている。で、今回7番を聴いてみた(アーノンクール指揮、ヨーロッパ室内管弦楽団、1990年、ワーナークラシックス)。

これを聴いて思うのは、ベートーヴェンというひとはほんとにドミソ(ラドミでもいいが)が好きなんだな、ということ。彼の使う和声は、ほとんど機能和声から逸脱することがない。だからというわけでもないが、この程度の曲なら自分でも作れそうな気がする。この、自分で作れそうな曲かそうでないかは、鑑賞にあたって非常に重要なポイントになってくる。すぐれた曲に対してまず払うべき敬意は、「いったいどうやったらこんな曲を思いつくんだ?」という素朴な驚きから発するものだと思うからだ。

ベートーヴェンの音楽は和声的にはおもしろくないし、メロディがすぐれているわけでもない。ではリズムは? これもべつにどうということはないが、今回聴いた7番に関しては、リズムはわりあい大きな役割を果たしていると思う。この曲を書いた当時の作曲者の健康状態についてはなにも知らないが、なにか一種の躁状態にあったのではないか、と思われるようなはしゃぎぶりなのだ。こんなに楽しそうなベートーヴェンを聴くのははじめてだが、だからといって聴いているこちらが楽しくなってくるわけではない。

ベートーヴェンは沈鬱であればあるほどよい、と思う自分はまちがっているだろうか。