エレナ・ポーター「少女パレアナ」


少女愛文学の六冊目(村岡花子訳、角川文庫)。

これにはまいった。後半はずっと泣かされっぱなし。ひとことでいえば少女版「小公子」*1のようなお話なのだが、パレアナはさすがに(?)牧師の子だけあって、「喜びの遊び」を家のなかだけにとどめず、町じゅうに広めてまわる。そして、足がわるくなって寝たきりになったパレアナのもとへ、今度は町に広まった「喜び」がふたたび回帰してくる。

ひとはヨブのような状況におかれたとき、なお人生を肯定できるだろうか。もしできるとしても、それは「神」と「自己」だけの世界ではむつかしいのではないか。ひとが「自己」だと思っているものは、自分で考える以上に「他者」とのつながりのうえに成り立っているものではないか。……

いずれにしても、この本はたんなるtearjerkerではない。自分にとってはすばらしいクリスマス・プレゼントになった。


(付記)
パレアナはPollyannaとつづるらしい。普通名詞になっているというので辞書をみると、たしかに出ている。しかしその意味するところが「盲目的な楽観者」とは!

ちょっと、いやだいぶ、もといぜんぜん違うだろ、と思ってしまった。

*1:これまた自分の生涯のベストに入りそうなくらい好きな小説