「夢見るフランス・ギャル〜アンソロジー'63/'68」

sbiaco2009-03-12



フランス・ギャルのレコード(CD)を買うのはこれが二枚目(フィリップス、2000年)。一枚目のは10年以上もずっと聴いているいわゆる「赤ベスト盤」で、これはジャケットといい内容といい文句なしのベスト盤。フランス・ギャルはもうこれだけでいいや、と思っていたが、アマゾンの評をみていると、この「L'anthologie」はふつうのベスト盤と重複の少ない、しかもレアものをあつめた「裏ベスト」ともいえるような内容らしいので、とにかく買ってみることにした。

このCDにはフランス・ギャルの写真が四枚ついているが、内側の二枚がことにすばらしい。ここでは彼女のかわいさ*1もさることながら、インテリアが非常にモダンで、とても40年前のものとは思えない。21世紀の写真といってもじゅうぶんに通用する。こういうのを見ていると、彼女はこのままの姿でいまでもフランスのどこかに住んでいるのではないか、という気になってくる。

同じことはCDの内容についてもいえる。全体に歌謡曲っぽい曲が多いが、日本の40年前の歌謡曲がいかにも時代を感じさせるのに対し、フランス・ギャルの曲は驚くほど経年変化をこうむっていない。本城和治氏のライナーにも「不思議なことにどの曲も今もって大変に新鮮に聞こえるのである」とあるとおり。

当時の製作者にしても、これらの曲が40年後まで聴かれるとは思っていなかっただろう。ちょっといっとき売れればそれでいい、と思っていたのだろう。ところが案に相違して、これらの曲は懐古的なオールドファンのみならず、当時をまったく知らない若い人にも受け入れられるだけの潜在的なクォリティ(エネルゲイア?)をもっていたのだった。

製作者が渾身の力をこめて作った大作や問題作が10年を待たずに古びてしまういっぽうで、こういう軽いノリで作られたエフェメラルなものが歳月をこえて生き残ることがある。こういうところに創造のふしぎを感じてしまう。

ところでこのCDのジャケ写にはロリポップをくわえたフランス・ギャルが写っている。彼女のファンで「アニーとボンボン」事件を知らない人はいないと思うが、いいんでしょうかね、こういう写真を使っても。当人が見たらいやな気持になるんじゃないか、と余計な心配をしてしまった。

*1:金髪のボブにバストとヒップが強調されたポーズ!