追悼、石井桃子


石井桃子さんが百一歳で亡くなったとのこと。失礼ながら、まだご存命だったとは知らなかった。去年、雑誌「ユリイカ」で特集されていたので、なにかあったのかな、と思っていたが、百歳のアニヴァーサリーだったことにいまごろ気づいた。この雑誌は本屋でちょっと立ち読みして、中に入っていたネコの出てくる童話がとてもかわいらしいのが気に入った。彼女の作品はほとんど読んでいないけれども、去年たまたまネズビットの「砂の妖精」を読んで、さすがにプロの仕事だな、と感心した。彼女の翻訳では、「ドリトル先生」シリーズが印象に残っている。これは表向きは井伏鱒二の翻訳ということになっているが、じっさいに訳したのは彼女ではなかったか。なにかそんなことが「あとがき」に書かれていたような気がする。違っていたらすみません。

よくも知らない人間がこんなことをいうのは不遜かもしれないが、私は彼女を児童文学におけるイシスと呼びたい。ご冥福をお祈りします。