ヘルマン・ワイル「数学と自然科学の哲学」


アマゾンのマケプレに発注していたワイルの本が届く(菅原、下村、森訳、岩波書店)。まだ部分的に拾い読みしただけだが、この本の著者の底知れない造詣には驚くばかりだ。洋の東西を問わず、哲学者(あるいは研究者)の書くものには理科系的な知識が欠落しているうらみがあって、めいめいが得手勝手な形而上学(哲学的駄法螺)を振りまわしているだけではないか、とかんぐってしまうことも再々だ。じっさい、このワイルの本をみていると、そういう純粋思弁がいかに危ういものであるかがよくわかる。プラトンは数学を知らないもののアカデメイアへの入学を拒絶した。本来はそうあるべきなのだ。

とはいうものの、そういう私自身が自然科学の劣等生なのだから、この本を読んでちゃんと理解することができるかどうか、きわめて怪しいといわざるをえない。しかし、ワイルのようなひとがかつて存在したということは、哲学が学問として成立しうることの有力な担保にならないだろうか。そういうところにポイントをおいて読んでみたい。

ともあれ、こんなすばらしい本を紹介してくださったcomcさんには心から感謝したいと思う。