「吸血鬼ノスフェラトゥ」

sbiaco2007-01-31



WHDジャパンの廉価DVDの二枚目(ムルナウ監督、1922年、ドイツ)。これも以前ビデオで見たものだが、「ゴーレム」よりはよく覚えていた。今回ちょっと意外だったのは、ノスフェラトゥよりも召使(?)のレンフィールドの存在感のほうが上回っていたことだ。ノスフェラトゥはどうしても作り物の印象を免れないが、レンフィールドのほうは正真正銘の精神異常者にみえる。彼ほどグロテスクという言葉にぴったりの俳優もそういないのではないか。

ちなみに、ここでいうグロテスクとはいわゆるグロのことではないので、念のため。

さて、前の「ゴーレム」でも感じたのだが、このWHDのシリーズ、どうも字幕が信用できない。私もたいていのことなら許すけれども、この映画ではかんじんなところでとんでもない誤訳をしている。まあ、英語の字幕があわせて出るから問題ないともいえるが、英語なんか読むのはめんどくさいという人もいるだろう。そういう人のためにあえて書いておくと──

日本語字幕では、「吸血鬼は女性を好む。そして、血を吸われた女性はみずからも吸血鬼になる」とあるが、英語字幕では「吸血鬼を退治できるのは女性だけである。けがれのない女性がみずから吸血鬼の犠牲になって、一番鶏が鳴くまで引き止めておくのが唯一の方法だ」というような内容になっている。

この説明がないと、見ているほうは結末がどうにも納得できないのではないか。老婆心ながらひとこと書いておく。