翻訳について


翻訳という作業は、たまに気晴らし(?)にやってみるけれども、いつも10行ばかり訳したらいやになってやめてしまう。で、書いた紙はそのまま丸めて捨てる。そして、ああ、また時間を労力とを無駄にしたな、とため息をつく。

しかし、まれに根気のつづくこともある。今回シュティルナーの本を読んでいたら、マルセル・シュオッブの絶筆「ユートピアの対話」をふと思い出したので、これを読みなおしてみると、ちょっと主旨はちがうものの、これはこれでなかなかおもしろい。文章も簡単だし、ひとつ訳してみようか、と思い立った。

しかし、こうやって訳したものを読み返してみると、あまり一般的におもしろい作品でもなさそうだ。翻訳でいちばん困るのは、自分がおもしろいと思ったところもつまらないと思ったところも分け隔てなくぜんぶ訳さなければならないところだろう。つまらないところは要約にする、という昔の(大昔の!)流儀にも、それなりの存在の理由があったんだな、といまさらながらに思った。

このコントは1905年、いまから約100年前に書かれたものだ。著作権はとうの昔に切れているから、ネットで公開しても問題はないだろう。原文はここで読める。わからないところは適当にごまかしているので、誤訳や誤解があったらご教示いただければ幸いです。