残念だが仕方がない。あの至福の境地へは、ほかの女が連れていってくれるだろう、その編んだ髪をおれの額の角に結びつけて。しかし、わが情熱よ、おまえは知っている、どの柘榴もすでにまっ赤に熟れて、その笑み割れた実のまわりには、蜂がぶんぶんうなって…
「ユリイカ」の臨時増刊号(ステファヌ・マラルメ特集、1986年)を見ていると、詩人の高橋睦郎氏が鈴木信太郎の訳詩を評して、「鈴木美学の度のきついレンズを通して著しい屈折を受けたマラルメ」と書いている。さすがは詩人、うまいことをいうな、と思…
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