ドストイェーフスキー「二重人格」


ドストエフスキーの第二作で、発表当時からあまり好評ではなかったらしい。しかし二十五歳ですよ、作者がこれを書いたのは。それだけでも私なんかはうーんと唸ってしまう。

この作品はたしかに世評のとおり冗長かもしれないが、退屈ではまったくない。じっさい退屈している暇もないほど次々に事件が起る。けっきょくは主人公の一人相撲なんだけど、それが客観描写で描かれているから、読み手にははたしてこれが主人公の妄想なのか、それとも客観的な事実なのかよくわからない。このちぐはぐさと、それにともなうユーモアが非常にカフカ的だ。もしかしたら自分がカフカ好きなものだから、それでこの小説がひどく気に入ったのかもしれない。

これを読んでいると、やはり私の大好きな映画「未来世紀ブラジル」のことを思い出す。カフカが好きで、この映画が好きな人にはたまらない小説だと思う。

原題は Dvoinik といって、ロシアの民間伝承に出てくる言葉らしい。ロシアにもそういう話があったのかと、これにも興味をひかれる。

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ツイッターのおかげで本の感想を書くのをずいぶんサボってしまったが、今後はまたぼつぼつ書いていきたい。今回はリハビリをかねてごく簡単に書いてみた。