火刑


……会社に来ているバイトの子の仕事ぶりにひどく腹をたてたおれは、彼の胸ぐらをつかんで「いったいどういうつもりか説明しろ」と詰め寄った。すると彼は、○○さんにそんなことをいわれる筋合はない、だってあなたというひとは……

彼は驚いたことにおれのこの日記を読んでいた。そして、そこからさらにおれの日常生活のこまかいところにいたるまで知り尽くしていた。精神の背後というか暗部をことごとくさらけ出されたおれは降参せざるをえなかった。ぐうの音も出ないとはまさにこのことだ。そこでおれは彼にいった、よくわかった、しかしそこまで細かく読んでくれているということは、まんざら興味がなかったわけでもないだろう、おれはたしかにつまらん男だけれども、その興味に免じてどうか許してほしい……

いままで、批判的なことを書かれただけでブログを閉鎖してしまう人の心事がよくわからなかったが、たしかに的を射た批判というのは更新の意欲をくじくに十分だ。続けようという意志が根元から折られてしまう。

家に帰ってしばらくすると、一階から火が出た。軒の部分がぱちぱちと燃え上っているのがみえる。大切なものを運び出さなくては、と思いながら、それもめんどくさい、もうなにもかも燃えちまえばいい、という気分になっていた。火はあらゆるものを浄化してくれるのだから……

レビ記」を読みながら、ついうとうとしてみた夢の断片。